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2018 年度 実施状況報告書

分子バーコード併用次世代シークエンスによる高感度網羅的リキッドバイオプシーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K07999
研究機関山梨大学

研究代表者

高野 伸一  山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (80377506)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードリキッドバイオプシー / デジタル次世代シークエンス / 膵癌
研究実績の概要

近年開発途上のリキッドバイオプシーで個別化医療を目指すためには網羅的な遺伝子検索が必要となるが、次世代シークエンス(NGS)はシークエンスエラーによるノイズにより真の変異を同定しがたい欠点が存在する。今回、高感度かつ正確なシークエンスが可能なデジタル次世代シークエンス(dNGS)を用い、膵癌の個別化医療を目指したリキッドバイオプシーの可能性を模索した。EUS-FNA検体の網羅的遺伝子解析施行済みの膵癌58症例のうち、KRASメジャー変異(G12D, G12V, G12R)を有していた45症例の血漿抽出cfDNAを対象とした。検討1: dPCRによるKRAS変異検出率を検討した。検討2: dNGSによる癌関連52遺伝子の網羅的解析を施行した。結果1: 平均2.6mlの血漿から164±117ngのcfDNAが抽出可能であった。dPCRでのKRAS変異検出率は、VFのcut-offを>0%とした場合42例(93%)、>0.5%とした場合35例(78%)でStageによる検出能に差は見られなかった。結果2: 25症例のcfDNAよりdNGSを施行した。dPCRと同じKRAS変異は11例(44%)で検出可能であり、TP53変異を7症例(28%)で検出した。また、copy number異常をCCND2(1例), FGFR1(1例), MYC(2例)に認め、さらに同一症例の進行期のcfDNA7例中3例でCCND3, CDK4, MYCに新たなcopy number異常を認めた。cfDNAのdPCR解析では極めて高感度な変異検出が可能であった。網羅性と正確性を両立したdNGSでは検出感度が劣るものの、治療標的となりうる遺伝子変異や増幅を検出することが可能であり、将来の個別化医療に有用かつ低侵襲なモダリティーになると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究手法として、血液サンプルからデジタル次世代シークエンス(分子バーコード併用次世代シークエンス)を行うこと自体は初年度に達成できたため、今後は様々な症例からのデジタル次世代シークエンスを行い臨床的有用性を評価していく予定。実際の成果としては、膵癌患者血漿32サンプルのデジタル次世代シークエンスを行い、何らかの遺伝子異常を53%のサンプルから、またKRAS変異を44%のサンプルから検出することができた。

今後の研究の推進方策

上記のように32サンプルを用いて約半数程度から遺伝子異常を検出できたが、今後はその検出率を上げるために技術的改善を目指すとともに、実臨床で利用する場面を想像しながらリアルタイムに遺伝子異常を検出する方法を模索していく予定。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 膵癌の個別化医療を目指したデジタル次世代シークエンスによるリキッドバイオプシー2019

    • 著者名/発表者名
      高野伸一、深澤光晴、榎本信幸
    • 学会等名
      第105回日本消化器病学会総会
  • [学会発表] 膵癌のPrecision medicineを目指したEUS-FNA検体の次世代シークエンス解析2019

    • 著者名/発表者名
      高野伸一、深澤光晴、榎本信幸
    • 学会等名
      第105回日本消化器病学会総会
  • [学会発表] 新しい経口胆道鏡所見分類法の生検病理と遺伝子解析による妥当性評価2019

    • 著者名/発表者名
      深澤佳満、高野伸一、榎本信幸
    • 学会等名
      第105回日本消化器病学会総会
  • [学会発表] 大腸癌の個別化治療をめざした腫瘍由来濃縮cfDNAによる高感度リキッドバイオプシーの開発2019

    • 著者名/発表者名
      石田泰章、高野伸一、榎本信幸
    • 学会等名
      第105回日本消化器病学会総会

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公開日: 2019-12-27  

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