研究課題/領域番号 |
18K08000
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
田中 榮司 信州大学, 医学部, 特任教授 (50163506)
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研究分担者 |
太田 正穂 信州大学, 医学部, 特任教授 (50115333)
城下 智 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (90597965)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | B型慢性肝炎 / KIR / HLA class I / 肝細胞癌 |
研究実績の概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアにおける肝発癌は、臨床上重要な問題である。本研究では、B型肝炎の臨床病態、肝発癌とHLA class Iおよびペア型受容体のKiller-cell immunoglobulin-like receptor (KIR) との関連を明らかにすることを目的とした。 健常人(n=325)とB型肝炎患者(n=280)のDNAサンプルを用いて、20種類のKIRとHLA-Bw4/Bw6、および、HLA-C1/C2をPCR-SSP法を用いてタイピングし、各種臨床指標と共に比較検討した。 健常人に比して、B型肝炎患者では、KIR3DL1/HLABw4が多かった(OR:1.56、P=0.007)。患者群におけるサブ解析では、核酸アナログ治療群(n=114)と核酸アナログ治療後ドラックフリー達成群(n=20)を比較すると、年齢や(核酸アナログ治療群 vs. ドラックフリー達成群:62 vs. 64歳、P=NS)、性別に差はなかった(同:男性61 vs. 50%、P=NS)が、HBsAg量はドラックフリー達成群で低く(同:226.8 vs. 0.07 IU/mL、P<0.001)、KIR3DL1/HLA-Bw4が有意に少なかった(同:53 vs. 25%、OR=0.29、P=0.021)。さらに、肝癌合併群(n=39)と非合併群(n=241)では、肝癌合併群は、高齢で(肝癌合併有 vs. 無:69 vs. 60歳、P<0.001)、男性に多く(同:76 vs. 50%、P=0.002)、KIR多様性のうち、KIR2DS3が有意に多かった(同:31 vs. 15%、OR=2.5、P=0.015)。 B型肝炎の肝癌合併にはKIR2DS3の関与が示唆された。KIR2DS3のリガンドは不明であり、この多様性の肝発癌に係る分子生物学的関与については今後の検討課題と考えられた。
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