研究実績の概要 |
ヒト胃癌細胞を用いたDNAマイクロアレイによる解析によって胃癌の抗癌剤耐性に関与する可能性のある遺伝子を同定した。 EGR1の他PDGFB, AVPI1, CISH, PCGF3, ANTXR2, PLK2, ANXA5, ATP7B, FAM116A, HECAなどの遺伝子が拾い上げられており、これらの遺伝子について抗癌剤耐性との関連を調べるため、ヒト胃癌細胞株MKN45(HSRRB)を使用し、SiRNAを導入し、ノックダウン細胞を作製したうえで、現在の胃がん治療で頻用される抗癌剤である、docetaxel、CDDP、5FUの それぞれの薬剤について、MTT Assayにより胃癌細胞のviabilityからIC50を求め、negative controlと比較したIC50を測定し、薬剤耐性の変化について検討を行った。 本段階の実験では当初有用と考えられたEGR1では大きな変化は認めていなかったが、ANXA5のノックダウンにより5-FUのIC50がに低下した。また、PCGF3のノックダウンにより、DocetaxelのIC50が低下した。そしてCISHのノックダウンにより、5-FUのIC50が低下し、さらにPDGFβのノックダウンにより、5-FUのIC50が上昇していた。 siRNAを用いたMTT Assayでは、耐性遺伝子であるANXA5,PCGF3,CISHは遺伝子発現を抑制することで薬剤感受性が上昇し、感受性遺伝子であるPDGFβは遺伝子発現を抑制することで薬剤感受性が低下することが確認された。 これらの結果を踏まえ、EGR1単独の検討ではなく、EGR1およびPDGFB, AVPI1, CISH, PCGF3, ANTXR2, PLK2, ANXA5, ATP7B, FAM116A, HECAなどの遺伝子についてもSiRNAを導入実験を行い、薬剤耐性の変化について検討を行った。これらの遺伝子群の中で特定遺伝子について有用性が高い可能性が示唆されており、臨床検体にて発現率などについて検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
EGR1単独の検討では次の段階に進めた場合、EGR1の有用性が低いと判断された場合の無駄が大きいため、EGR1以外のPDGFB, AVPI1, CISH, PCGF3, ANTXR2, PLK2, ANXA5, ATP7B, FAM116A, HECAなどの遺伝子についてもSiRNAを導入実験を行い、薬剤耐性の変化について検討を行った。その結果これらの遺伝子群の中で有用性が高い可能性がある遺伝子が発見同定されており、臨床例、臨床検体での発現率を検討している。
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