本研究の目的は、膵がんの新たな化学予防薬の実現化を目指すことにある。過去の膵がん化学予防の研究ではCOX-2選択的阻害剤などを用いて検討が行われていたが、重篤な心疾患などの副作用があり、他の安全な薬剤での検討が求められている。本研究で用いるメトホルミンについてはすでに50年以上にわたり抗糖尿病薬として臨床応用されており、コンプライアンスも高く、安価であり、副作用なども少なく、臨床応用へのハードルは低いといえる。そして得られた結果は膵がんハイリスク群への応用が可能であり、糖尿病治療薬として臨床的必要性の高い薬剤による難治性膵がん予防の実現化という点において本研究の臨床的意義は大きい。
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