研究課題/領域番号 |
18K08015
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
坂本 直人 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (10420845)
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研究分担者 |
折茂 彰 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70275866)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大腸癌 / CMS4サブタイプ / CAFs |
研究実績の概要 |
最近、大腸癌遺伝子発現プロファイルをもとに、4種類のコンセンサス分子サブタイプ(consensus molecular subtype:CMS)が報告された 興味深いことに、これらは特定の遺伝子変異には全く依存しないサブタイプ分類であり、CMS4は、TGF-βシグナルの顕著な活性化、間葉系の表現型(上皮間葉移行 epithelial mesenchymal transition: EMT)およびCAFsの集積や血管形成および高浸潤・転移性を特徴とし、最も予後不良のサブタイプである。 申請研究では、CMS4サブタイプ大腸癌が正常線維芽細胞のCAFs化に優れているか否か検討するために、大腸癌患者由来PDXモデルを樹立した。現在5種類の患者より作製された、大腸癌由来PDXマウスモデルを継代・維持している。その内2例においてCMS4サブタイプの癌の可能性が示唆された。 CMS4タイプのヒト大腸癌細胞が、CAFsを誘導するか否かを検討するために、1X105の癌細胞と不死化された3X105のpuromycin-耐性遺伝子が導入された正常ヒト大腸由来線維芽細胞をNOGマウスに皮下移植した。1~2か月後成長したそれぞれの群の癌塊をcollagenaseで消化し、dissociate しpuromycinを添加した10%FCS-DMEM培地で培養した。 現在まで、2例のCMS4タイプヒト大腸癌細胞と正常ヒト大腸由来線維芽細胞をNOGマウスに皮下移植を施行した。しなしながら、予想に反してpuromycin-耐性の細胞は培養増殖の過程で死滅し樹立することが困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在まで、2例のCMS4タイプヒト大腸癌細胞と正常ヒト大腸由来線維芽細胞をNOGマウスに皮下移植を施行した。しなしながら、予想に反して、puromycin-耐性の細胞は樹立することが困難であった。正常ヒト大腸由来線維芽細胞をNOGマウスに皮下移植した群よりは、puromycin-耐性の細胞は樹立が可能であった。 恐らく大腸癌によっては、CAFs化を促進することなく、むしろ細胞の増殖を抑制を誘導するような現象も起こすのかもしれない。使用した不死化したヒト大腸由来線維芽細胞も従来の線維芽細胞に比較して、増殖速度が遅く、この実験に不適切な可能性もある。
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今後の研究の推進方策 |
CMS4タイプヒト大腸癌細胞は2種類しか手持ちがない。aim1を深追いすることなく、 aim2のCAFsがCMS4サブタイプ大腸癌の分化に寄与しているのかを来年度よりは 探索する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想に反してCAFsの樹立が困難であったため、予定していたマウスの実験を施行しなかったために、次年度使用額が生じた。次年度の使用計画としては、予定していたマウスの実験を遂行し、CAFsがCMS4サブタイブ大腸がん分化に寄与しているか否かを検討する。
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