研究課題
大腸癌遺伝子発現プロファイルをもとに、4種類のコンセンサス分子サブタイプ(consensus molecular subtype:CMS)が報告された。その中で、CMS4は、TGF-βシグナルの顕著な活性化、間葉系の表現型(上皮間葉移行 epithelial mesenchymal transition: EMT)およびCAFsの集積や血管形成および高浸潤・転移性を特徴とし、最も予後不良のサブタイプである。この予後不良のCMS4サブタイプに裏図けられるように、大腸癌の進展におけるCAFsの意義は益々明確になってきている。しかしながら、大腸癌細胞の悪性度とCAFsニッチ形成能力との関係は明らかではELISAない。申請研究では、本学付属病院で手術により切除された患者大腸癌組織40例を高度免疫不全マウスに皮下および同所に移植した。40例中13例で同所移植により継代可能なPDXモデルの樹立が成功した。13例中8例のPDXマウスで肝臓および肺への自発的な転移が観察された。患者大腸癌とPDXにおける大腸癌組織は形態的に極めて類似していた。免疫組織染色による解析において、多くの大腸癌細胞はE-cadherin強陽性の上皮系の表現型を呈していた。一方、E-cadherinlowZEB1highの上皮系と間葉系の両方の表現型(中間型上皮間葉移行)を持った上皮系/間葉系タイプの癌細胞も検出された。2例でCMS4サブタイプの表現型が示唆された。また、CAFsとCMS4サブタイプの相互作用を解析することを目的として、患者大腸癌よりCAFsの樹立を試みた。現在まで6例を試み、2例の患者よりCAFsと対照の線維芽細胞の樹立が成功した。今後は、CAFsと大腸癌細胞との共培養および共移植実験を使用予定である。
2: おおむね順調に進展している
CMS4サブタイプの患者大腸癌のPDXモデルおよびorganoid 培養が樹立された。患者大腸癌由来CAFsの樹立も2例で成功している。
CAFsとCMS4サブタイプの相互作用を解析することを目的として、CAFsと大腸癌細胞との共培養および共移植実験を使用予定である。
マウスを使用した実験を未だ施行していないため、その購入がされなかったため。
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