研究課題/領域番号 |
18K08017
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
平山 剛 東京医科大学, 医学部, 准教授 (30449219)
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研究分担者 |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (60532687)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胆汁酸 |
研究実績の概要 |
ウルソデオキシコール酸(UDCA)は肝保護作用を有し、一定の有効率と少ない副作用によって、消化器系の臨床には必須の薬剤である。しかし、原発性胆汁性胆管炎(PBC)での有効率は約70%に留まり、自己免疫性肝炎(AIH)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に対する効果は不十分で ある。我々はUDCAの肝保護作用を高めることがUDCA不応性病態改善の有効なツールになると考え、UDCAより肝保護作用が強い胆汁酸の探索を目的として研究を行っている。 前年度(平成30年度)に行った基礎実験にて、親水性+安定性という点からミュリコール酸(MCA)が最も有力な候補胆汁酸と考えられた。当該年度は、MCAを合成できずにケノデオキシコール酸(CDCA)が蓄積して肝障害を引き起こすマウスモデルを用いて、UDCA投与によって肝障害がどこまで改善するかを検討した。その結果、血液生化学検査では、UDCA投与によってALTの低下が認められた。しかし、UDCAの投与により胆汁中UDCAの比率が60%以上になっても病理組織学的所見は完全に正常化せず炎症が持続し、少なくともマウスにおいて肝障害の予防という点からは、UDCAよりもMCAの方が優れている可能性が示唆された。 一方、同モデルマウスにおいて、食事組成を変化させて非抱合型のCDCAを減少させることにより、肝障害の改善が認められた。新規の胆汁酸投与以外に、胆汁酸の抱合率を上昇させることによって肝保護作用を改善させ得る可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝障害モデルマウスを確立し、そのマウスの胆汁酸組成を変化させることによって肝障害がどのように変化するかの基礎データを予定通り積み重ねることができている。
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今後の研究の推進方策 |
MCA投与による肝障害の改善のみならず、胆汁酸の抱合率を上昇させることによって肝障害を改善させるという新しい視点からの研究も並行して行い、最も効果的な方法の探索を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
既に令和元年度末に「次年度使用額」以上の金額を使用している。会計手続き上、年度末の請求書の処理が次年度になっており、研究費は予定通り継続的に使用している。
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