研究課題
過敏性腸症候群(IBS)の腸内細菌叢に関する最近のreviewでは、健常者との相違が報告されているが、糞便細菌叢の検討がほとんどである。腸管粘膜ムチン層に局在する粘膜細菌叢(Mucosa-associated/adherent Bacteria, MAM)は、腸管免疫の制御に直接関わり、宿主との相互作用に重要な役割を果たしているがデータは少ない。そこで、大腸内視鏡検査時にブラシッング法を用いて回腸・大腸粘膜に付着した粘液を採取し、16S rRNA系統解析により細菌叢を評価することにより糞便よりブラッシングサンプルがよりMAMの評価に適していることを確認し報告した(J Clin Biochem Nutr. 2019;65:132)。また便秘型IBS(IBS-C)と下痢型IBS(IBS-D)間でMAMを比較している研究は少なく、一定の見解が得られていない。そこでIBS-CとIBS-D患者のMAMを比較検討する目的で、同様に患者の回腸末端およびS状結腸粘膜に付着している細菌叢の違いについて16S rRNA系統解析を行った。IBS患者において健常者と比較して細菌多様性は低下し、酪酸産生菌がIBSで有意に少く、IBS-CとIBS-D間で細菌構成比および機能解析に差を認めた。IBS-C群では、酪酸産生菌の中でもButyricicoccus属がS状結腸で、IBS-D群ではRuminococcus属およびOscillospira属が回腸末端で減少を認めることを報告した(Digestion. 2021;102(1):49-56)。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Digestion
巻: 102 ページ: 49~56
10.1159/000512167
巻: 102 ページ: 6~11
10.1159/000510680