現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、胆汁鬱滞肝線維化モデルを用いて研究を進めた。 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は原因不明の難治性肝疾患であり、胆汁うっ滞が肝細胞障害を引き起こすことにより肝線維化を生じる。現在肝硬変に対する抗線維化治療薬は存在せず、我々はCBP- b -catenin阻害剤であるOP-724の有効性を胆汁うっ滞線維化モデルを用いて検討した。 方法:8週齢雌MDR2KO miceとbackgroundであるFVB miceにvehicleとOP-724(20 mg/kg)を週3回腹腔内投与し6及び10週間投与した。投与後の血清を用いて、1)ALT, T.Bil 2)BioPlexパネルを用いて、cytokines、chemokines、MMPs 3)IL-11, PAI-1、EGR-1を測定した。また肝臓組織を用いて、1)H.E.染色、Sirius red染色, a-SMA, CK19, EGR-1免疫染色を行なった。さらに、肝臓からタンパク質を抽出し、a-SMA, b-catenin, CBP, P300、S100A4のWestern blotを実施し、hydroxyprolineの定量を行なった。最後に肝臓よりRNAを抽出し、PCR array (Wnt target, pathway)、EGR-1, Timp-1, PAI-1のreal-time PCRを実施した。結果:OP-724は、MDR2KOマウスにおいて、Sirius red染色による線維化面積、肝臓hydroxyproline定量の結果から、有意な抗線維化作用を認めた。MDR2KO miceではPRI-724投与後vehicle群と比較し血清ALTやT.Bilの低下を認め、TNFa, CXCL9, CCL5の低下も認めた。一方、投与後では血清MMP-8, 9, 12が有意に増加していた。PCR array(Wnt signal pathway and target)の解析から、投与後肝臓内EGR-1, IGF-2, TGFb3の発現が低下していた。結論:OP-724は胆汁うっ滞線維化モデルにおいて抗線維化作用を認めた。作用機序として、MMPsの上昇、肝障害の抑制効果が考えられた。
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