Coupling factor 6は核内酸性化による老化促進作用を有し、その原因蛋白質がNM_026333であることを背景に、標的分子と阻害薬の作用について検討した。初年度、NM_026333の標的分子チャネルがNCX1であることを明らかにした。次年度は、NCX1の阻害薬のSN-6 (3mg/Kg)をマウスの腹腔に隔日投与し、投与後4週目から白血球テロメア長は延伸が認められ、10週後では約15%の白血球テロメア長延伸が認められることを明らかにした。最終年度はNM_026333のリコンビナント蛋白を作成し、CF6過剰発現マウスに投与し、primary aging hallmarksの中のtelomere attrition に対する影響を、マウス眼窩から採血して得られた白血球ゲノムDNAを検体として、PCR法で測定し解明した。また、マウス老化抑制蛋白NM_026333に相当するヒト蛋白質を検索した。NM_026333のリコンビナント蛋白は以下の様に作成した。NM_026333 cDNAのexpression vectorからBamH IとPstIを用いてNM_026333をコードしたcDNA fragmentを切り出した。pGEX-4T-3をXhoIで消化後、oligomer pGEX-4T-3 M3 F: 5'- TCGAGTCGACCTGCAGGCATC -3'とoligomer pGEX-4T-3 M3 R: 5'-TCGAGATGCCTGCAGGTCGAC -3'で作成されたPstI siteのアニーリングカセットを用いて連結した。さらに、NM_026333をコードしたcDNA fragmentをpTrcHisAにサブクローニングした。作成されたNM_026333リコンビナント蛋白CNAP(1mg/Kg)をマウスの腹腔に隔日投与し、投与後4週目から白血球テロメア長は延伸が認められ、10週後では約15%の白血球テロメア長延伸が確認された。すなわち、CNAPはアンチエイジング蛋白であり、治療薬としての可能性が示された。また、マウス老化抑制蛋白NM_026333に相当するヒト蛋白質をNCBIのBlastを用いて検索したが、発現は認められなかった。
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