研究課題/領域番号 |
18K08026
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高野 博之 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (60334190)
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研究分担者 |
眞鍋 一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70359628)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心不全 / 心臓保護活性物質 / トランスクリプトーム解析 / DPP-4 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
申請者らは、これまでマウスの急性心筋梗塞モデルにDPP-4阻害薬を投与することで血糖降下作用とは関係なく心不全が改善することを明らかにした。DPP-4阻害薬による心臓保護作用は圧負荷心不全モデルマウスでも認められた。また心不全モデルにおいて急性期にDPP-4の血中濃度が上昇することも確認した。これらの結果から、① 心不全にDPP-4が関与している、② 心臓保護作用を有する生理活性物質(DPP-4基質)がDPP-4により分解されることで心不全が発症・進展する、という可能性を考えた。本研究の目的は、心不全マウスの心臓を用いて次世代シーケンサーによるRNA-seq解析を行い、発現変動遺伝子群からDPP-4の基質を網羅的に解析し、その中から心臓保護作用を有する生理活性物質を同定することである。そこでまず、マウスを用いて急性心筋梗塞モデルおよび圧負荷モデルを作製し、心不全モデルとしての再現性を確認した。作製した心不全モデルは、心エコー検査による心機能解析、病理学的解析、遺伝子発現解析などから実際に心不全が発症していることを確認した。今年度は心不全モデルマウスを安定して作製し、今後予定しているRNA-seq解析を行うにあたって必要な心臓サンプルを準備することに十分な時間を当てた。また、近年注目を集めている拡張不全マウスを作製できるようになったため、このマウスの心臓も実験に用いることとし準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は心不全モデルの作製者が交代したことにより、再現性のある心不全モデルの作製が可能となるまである程度の時間を要した。今年度は、安定した心不全マウスモデルの作製ができるようになった。さらに、これまでの収縮不全モデルだけではなく、拡張不全モデルも作製できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シーケンサーを使ったRNA-seq解析に向けて、収縮不全および拡張不全の心不全モデルの心臓から抽出したサンプルを作製し、随時プロテオーム解析を進める予定である。心不全により発現が変動する遺伝子プロファイリングを行い、DPP-4基質の探索に取りかかる。さらに心不全に関与するDPP-4基質として候補に挙がったものの中から、心臓保護作用を有する分子を同定し、心不全の創薬標的または診断バイオマーカーとしての可能性について研究を進める。進捗状況により学会等で研究成果を随時発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の進捗状況がやや遅れたため、当初予定した使用額に達しなかった。翌年度分として請求した助成金と合わせて研究実施計画に沿って研究を進めていく。主に次世代シーケンサーを使ったRNA-seq解析に研究費を使用する予定である。
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