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2019 年度 実施状況報告書

新規摂食抑制機構の解明と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K08027
研究機関東京大学

研究代表者

小島 敏弥  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30625588)

研究分担者 藤生 克仁  東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30422306)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードKLF5 / AgRP / 摂食調節
研究実績の概要

視床下部弓状核は摂食中枢として機能している。転写因子Kruppel-like factor 5(KLF5)が視床下部弓状核に存在し、摂食亢進に作用するAgouti-related peptide(AgRP)分泌細胞に一致していることを確認した。
培養視床下部ニューロンでKLF5をノックダウンするとAgRP発現が増加することから、KLF5はAgRPニューロンの機能を抑制することによって、摂食を抑制することが示唆された。
転写因子KLF5による視床下部弓状核AgRPニューロンの機能制御機構を検討し、末梢からの情報に応じた摂食調節の分子機序を明らかにすることと、治療応用への基盤的解析を行うことを目的とする。
Forkhead protein FoxO1はAgRPを正に制御するが、KLF5によりそれが抑制される。また、高グルコース濃度においてFoxO1とKLF5は結合しているが、低グルコース刺激により解離する。KLF5はAMPK、FoxO1と拮抗することでAgrp活性化を抑制し、KLF5がAMPK、FoxO1、Agrpをつなぐ鍵因子であることが示唆された。AgRPプロモーターにおけるKLF5結合領域のクロマチン免疫沈降等により、AgRP活性抑制(食欲抑制)にKLF5が必須であることを確認した。
Agrp特異的Klf5ノックアウトマウスでは摂餌量増加に依存する体重増加を認めた。KLF5は摂食調節に関与し、多面的に代謝制御に寄与することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

KLF5は多くの遺伝子に対して転写を正に調整することが知られているが、我々は、骨格筋においてKLF5がSUMO化を受けることによって転写抑制作用を示すことを明らかとしている。KLF5がAgRPに対して抑制的に作用するという点を考慮し、SUMO化の寄与を検討した。
KLF5による転写抑制にはKLF5のSUMO化が必須である可能性が高く、摂食抑制にKLF5のSUMO化が必須であることをin vivoで検討するため、すでに、KLF5のSUMO化サイトのmutant ノックインマウス(loxP-wild type Klf5-stop-loxP- Klf5 SUMO化sites mutant-stop)を作成した。このマウスを用いて、Agrp-Creを掛け合わせることで、AgRPニューロン特異的に、KLF5 SUMO化sites mutantが発現し、in vivoでKLF5のSUMO化の消失が摂食抑制に与える影響を直接的に検討したが、有意な表現型の差は得られなかった。
グルコースとKLF5、FoxO1及びAgRPをつなぐシグナルは依然として不明である。インスリン、レプチンといった末梢シグナルとは独立した経路の存在も示唆されるが、解析が遅れている。

今後の研究の推進方策

KLF5は摂食調節において末梢と中枢をつなぐ、あるいは中枢における直接的作用においても鍵分子であると予想される。メタボリックシンドロームの根本にある肥満に対する治療法を開発することが可能であると考えられる。具体的には、AgRP, Foxo1, KLF5を発現している培養ニューロンのAgRPサイトにCRISPR/Cas9レンチウィルスを用いて、GFPをノックインする。さらに、同様にCRISPR/Cas9レンチウィルスを用いてKlf5を追加ノックアウトした細胞ラインとしない細胞ラインを作成する。このスクリーニング系を用い、KLF5依存性にAgRPを抑制する新規化合物を検索する。

次年度使用額が生じた理由

AgRP, Foxo1, KLF5を発現している培養ニューロンを用い、in vitroでのAgRPサイトへの介入研究を予定している。

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公開日: 2021-01-27  

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