研究課題
デノスマブは破骨細胞を活性化させるRANKLに対する抗体で骨粗鬆症の治療薬であるが,RANKLは血管にも発現しており,血管石灰化に関与していることがin vitroで示されている.実際我々は平成26年~28年の科学研究費助成事業にて施行したPilot studyにおいて,デノスマブ投与により冠動脈石灰化スコアの進行を抑制することを明らかにした.Pilot studyの更なる検証として、我々は新たに「冠動脈疾患合併骨粗鬆症症例に対するデノスマブ群とアレンドロン酸群の冠動脈石灰化に与える影響を評価するための非盲検化群間比較試験」を立案した.本試験は2019年3月7日に新潟大学中央臨床研究審査委員会にて承認を得た後,jRCTに2019年5月17日登録した(計画番号jRCT1031190025).本研究は通常の臨床診療内で行えるよう,適応外使用でなく,「原発性骨粗鬆症」の診断がついているものに対し、薬の投与前後でCTを撮影することにより冠動脈石灰化スコアの変化を確認するようにデザインを行った.2019年12月に初回症例を登録したが,以後,循環器内科に入院する患者が男性が多く,骨粗鬆症の罹患率が高い女性が少なかった点,病院の性質上純粋な原発性骨粗鬆症患者は他院紹介となっており,除外基準にあたる二次性骨粗鬆症が多かった点,COVID19の混乱等から予定症例数である108例の積み上げは困難であると考えられ,登録症例の観察期間終了後、科研最終年度終了をもって中止となった.