研究実績の概要 |
基礎研究では、CD271遺伝子機能欠損マウスと骨髄移植モデルを組み合わせた頸動脈結紮モデルを用いて、CD271の内膜肥厚(以下、プラーク)形成への関与と制御機構を明らかにするために下記の実験を実施している。 8週齢の雄のCD271遺伝子欠損マウスと野生型マウスの右頸動脈を結紮し血管障害モデルを作成し、片側頸動脈結紮14日, 28日後にマウスを安楽死させ、頸動脈結紮部位近傍の動脈に生じるプラークを以下a,b,cの方法で定量的かつ定性的に評価しすることで、CD271陽性細胞の動脈プラーク形成に与える影響について検討を行っている。a. 組織学的評価としてプラーク面積を評価している。b. 免疫組織学的評価としてプラーク内のCD271陽性細胞による血管平滑筋増殖能、アポトーシス抑制効果を評価している。c. プラーク形成に関与する遺伝子発現ならびにタンパク発現レベルを比較検討している。 特に2019年度は、上記に加え骨髄由来CD271陽性細胞の関与について明らかにするための研究を実施した。 4週齢の野生型マウスに9.5GyのX線を照射した後、GFP陽性CD271遺伝子機能欠損マウス由来の骨髄(1x106個)を尾静脈投与し、8週齢で上記と同様に頸動脈結紮モデルを作成、骨髄由来GFP陽性CD271陽性細胞のプラークへの集積と形成されるプラーク量抑制効果との関連性を検討している。 臨床研究では、急性冠症候群患者を対象とし急性期末梢血中のCD271陽性細胞数を評価し、冠動脈内超音波検査所見と合わせて前向きにフォローアップすることで冠動脈プラーク病変の量的ならびに質的な進展・変化に与える影響を明らかにするために現在登録症例数を重ねている。
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