研究課題/領域番号 |
18K08032
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
金森 寛充 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (20456502)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | GLP-1 / 心不全 / 高血圧 |
研究実績の概要 |
Dahl食塩感受性ラット(DSラット)を高血圧心不全モデルとして、Dahl食塩抵抗性ラット(DRラット)を非心不全コントロールモデルとして使用した。DSラットは食塩負荷後著明な高血圧を呈し6週間で求心性左室肥大を認めた。11週間後には左室拡張末期径の拡大、左室駆出率の低下を認めた。また心臓カテーテル法による心内圧測定から左室拡張末期圧の上昇と拡張能の低下も確認された。臓器重量では心体重比が増加し心肥大を認めた。心筋組織では心筋細胞の肥大と間質の線維化が見られた。一方、DRラットではこうした変化は見られなかった。随時の血中GLP-1(Glucagon-like Peptide-1)をELISA法で測定したところActive form、Total formともにDRラットと比較してDSラットでは有意な増加を認めた。またGLP-1の産生状況を調べるために腸管のGLP-1発現を免疫染色とwestern blot法で調べたところDSラットでは小腸でGLP-1の発現が増加していた。大腸での発現は同等であった。また心筋GLP-1受容体の発現はDSラットで増加を認めた。GLP-1は消化管ホルモンであるため食事の影響が予想される。そこで空腹時、食後1時間、2時間、3時間の変化を調べたところ時間経過による有意な変化は認めなかった。しかしDSラットはDRラットと比較して空腹時より一貫して高値であった。さらに高血圧がGLP-1分泌に与える影響を調べるために食塩負荷5週間後について検討したところDSラット、DR ラットともに同等であった。また塩分負荷によるGLP-1分泌への影響を確認するためにSprague Dawley (SD)ラットに高塩分食負荷を行ったがGLP-1の分泌は不変であった。以上より心不全は腸管でのGLP-1分泌を増加し心筋へ何らかの影響を与えていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心不全モデル動物の確認ができた。心不全におけるGLP-1の基礎的な動態を調べることができた。
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今後の研究の推進方策 |
心不全において腸管はGLP-1を介してなんらかのシグナルを心筋に送っていると考えられる。腸管からのGLP-1分泌を増加させることが治療効果につながるかどうかを調べるために本動物モデルにmiglitol(GLP-1分泌促進薬)、exendin (9-39) (GLP-1受容体拮抗薬)を投与して心機能への影響を調べる。その中でオートファジーシグナルを検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね進捗状況は良いが実験が進まなかったところがあり今後進めていく必要がある。抗体、試薬、動物、ガラス器具など消耗品が必要である。
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