研究課題
慢性心不全におけるダントロレンの予後および心室性不整脈に与える効果と安全性を評価する多施設ランダム化二重盲検(SHO-IN Trial:UMIN 28766):本臨床試験は医師主導型の中国地方、四国地方を含む20施設からなる、ダントロレン、プラセボを用いた二重盲検試験である。対象は左室駆出率40%未満の慢性心不全患者で(1年以内に心不全により入院歴がなければBNP150pg/mL以上、1年以内に入院歴があればBNP100pg/mL以上)、主要評価項目は、心血管死、心不全増悪による入院、致死的不整脈による複合エンドポイントである。評価期間は2年である。2018年1月より、患者エントリーを開始し、2021年3月31日で、合計217例の患者の 登録を行っている(目標患者登録数300症例)。マウス心筋梗塞(MI)後心不全モデルにおけるリアノジン受容体(RyR2)安定化治療の有効性を明らかにする基礎研究:Sham群、MI群、MIダントロレン(DAN)投与群に分け、それぞれ、術前、術後4および8週(w)目で心エコーによる評価を行った。術後8wで心筋細胞を単離し、心筋細胞収縮能、RyR2からのCa2+漏出能を測定した。MI後8wでは、カルモジュリン(CaM)のRyR2への結合親和性が低下し、異常なCa2+漏出が認められた。また、MI群では梗塞部位より遠位部の心筋細胞肥大や心筋線維化が生じていた。しかしMI+DAN投与群では、CaMとRyR2の結合親和性が亢進し、Ca2+漏出は抑制され、その結果、心筋細胞肥大や心筋線維化は改善した。さらに、MI8w後に、エピネフリンによる心室頻拍(VT)誘発試験を行ったところ、MI+DAN投与群は、VTは有意に抑制された。カプラン-マイヤー生存曲線では、MI+DAN投与群の生存率は、MI群に比較して有意に改善した。
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