研究実績の概要 |
マウス心筋梗塞後4日目の心外膜脂肪に浸潤する炎症細胞をflow cytometryにより検討した。その結果興味深いことに、心外膜脂肪の容量が心筋梗塞を作製しないshamマウスと比較してMI後に増加すること、MI後の心外膜脂肪にはshamのマウスの心外膜脂肪と比較して、monocyte, macrophage, T細胞, B細胞などの炎症細胞が多数存在すること、さらに興味深いことに、shamマウスではほぼ見られなかったIL-3を産生するB細胞(IgM+)が強力に誘導されることを見出した。同様の細胞は、心筋梗塞部位、脾臓、腹部内臓脂肪には認められなかった。 IL-3のターゲットとして梗塞部位におけるIL-3受容体の発現を検討すると、主にmacrophage, monocyteにその発現が認められた。これらmyeloid cellはMI後の炎症性サイトカインの主なsourceであるため、マウス骨髄細胞よりBone marrow-derived macrophage (BMDM)を誘導し、IL-3で刺激すると、IL-1β, IL-6, CCL2などの炎症性サイトカインが強力に誘導された。 C57BL/6へ交配を終えたIL-3KOマウスとlittermateのコントロールマウス(以下WTマウスと表記)にMIを作成し、1ヶ月後の生存率、心機能の評価を行なったところ、preliminary dataではあるが、IL-3KOマウスで改善傾向にあった。また梗塞部位での浸潤細胞の評価をflow cytometryを用いて行うと、IL-3KOマウスでLy6Chigh単球、マクロファージの集積や、IL-1β, IL-6, CCL2などの炎症性サイトカインの発現が低下傾向にあった。一方、骨髄、末梢血中の好中球、単球などのmyeloid cellの数には両群間で変化を認めなかった。
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