研究課題/領域番号 |
18K08054
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
朝倉 正紀 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80443505)
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研究分担者 |
内藤 由朗 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10446049)
奥原 祥貴 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20648232)
西村 晃一 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30724116) [辞退]
織原 良行 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60767424)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 急性心不全 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
高齢化社会を迎え、心不全診療を大きく転換しないといけない現状がある。しかしながら、心不全診療における診断ツールは、BNP測定と心エコー図検査の二つのみしかないのが現実である。心不全診療を多面的にアプローチする必要に迫られており、本研究では、心不全の層別化を臨床および基礎の両面から探索したいと考え、進めているところである。 基礎からのアプローチとして、マウス大動脈縮窄による圧負荷に対する心肥大代償期に、非選択的β受容体作動薬投与による交感神経系を活性化させることで、代償性心肥大から非代償性不全心への移行が再現できると考えた。TAC期間を1, 2, 3週間の3条件で、ISO濃度を1, 3, 10mg/kg/minの3条件で、イソプロテレノール(ISO)を1週間持続投与することで心不全に移行するモデルマウスの最適な条件設定を探索した。その結果、TAC3週間後にISO 3㎎/kg/dayを1週間投与することが明らかとなった。本モデルの表現型や分子生物学的解析を進めてきた。 臨床からのアプローチとして、初発の心不全もしくは心不全増悪により入院した心不全患者の入院時および退院時に、血液および尿の資料収集を行っている。心不全急性期もしくは退院時に各種バイマーカの測定を行っている臨床研究は散見されるが、急性心不全で入院した入院時と退院時の両時期に各種バイオマーカーを測定している臨床研究は少なく、心不全診療における新たなバイオマーカーの可能性が示唆される所見が得られつつあるため、本年度が最終年度であり、できる限り成果が得られるように進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心不全の新規モデルをほぼ確立でき、論文投稿に至ることが出来た。 臨床においては急性心不全のデータベースを単施設ではあるが、構築することができ、心不全の予後予測バイオマーカーとして新たな因子が可能性として抽出することができた。
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今後の研究の推進方策 |
心不全の新規モデルのメタボローム解析を継続的に進め、心不全の病態解明およびバイオマーカー探索を求める。 更に、SGLT2阻害薬が心不全治療薬として臨床応用されているが、その心不全改善効果のメカニズムが以前として明らかでないことより、SGLT2阻害薬の心不全改善メカニズムを、我々が新規に開発したマウスモデルを用いて検討をしている。具体的には、新規心不全モデルの心臓組織において、SGLT2阻害薬投与による遺伝子発現変化の網羅的解析を行うと同時に、代謝物質の変化をメタボローム解析にて行っていく。 臨床においては、急性心不全患者における予後予測因子として抽出された新規の指標に対して次年度で報告できるように急いで研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に動物実験においては、RNAシークエンスおよび。メタボローム解析において追加の費用が必要である。また、臨床研究の指標解明および多層的解析においても費用が今年度以上に必要であり、今年度は経費を抑えて研究を行ったため次年度使用が生じた。
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