研究課題/領域番号 |
18K08054
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
朝倉 正紀 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80443505)
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研究分担者 |
内藤 由朗 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10446049)
奥原 祥貴 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20648232) [辞退]
西村 晃一 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30724116)
織原 良行 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60767424) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心不全 / 尿中アルブミン |
研究実績の概要 |
高齢化社会の進行と心不全パンデミックと形容される心不全患者の増加予測を踏まえると、心不全の克服は喫緊の課題であり、そのためには心不全の病態を新たに高い解像度で再解釈する必要がある。そのため本研究では基礎と臨床の多面的研究を通して心不全の層別化を目指している。 基礎からのアプローチとして、マウス大動脈縮窄による圧負荷に対する心肥大代償期に、非選択的β受容体作動薬投与による交感神経系を活性化させることで、代償性心肥大から非代償性不全心への移行が再現するモデルを構築した。本動物モデルを用いて心不全における各種臓器における遺伝子発現変化を探索的に評価する準備を進めている。特に心不全治療薬投与による遺伝子発現の網羅的解析を行うことで新たな病態の解釈が可能と期待している。 臨床からのアプローチとして、初発の心不全もしくは心不全増悪により入院した心不全患者の入院時および退院時に、血液および尿の資料収集を行った。とりわけ慢性心不全患者の尿中アルブミン排泄が増加していることを新たに見出し、尿中アルブミン・クレアチニン比(Urine Albumin-Creatinine Ratio; UACR)が心不全患者の予後に相関することを見出し発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症による影響を受けながらも、前年度作成した動物モデルを用いた遺伝子発現解析を進めることができた。また臨床サンプルを用いて尿サンプルからUACRという新たな心不全のバイオマーカーを見出し、その有用性についても示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子発現の網羅的解析を進め、心不全特有の変化と病態との関連を明らかにしていく。具体的には、心不全治療薬投与による遺伝子発現変化の解析を詳細に進めていく。また臨床的には、今年度新たに示すことができたUACRの変化についてさらに詳細な解析を進めていく。具体的には予後の詳細な解析や、心不全の病態に関連する様々な臨床指標との関連を積極的に解析していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による影響を受ける中で、可能な限り研究を進めていき、本研究の目標を遂行する。基礎研究における遺伝子発現解析費用、臨床研究におけるバイオマーカー測定及びその解析、学会発表や論文投稿費用などに予算が必要となると考える。
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