研究課題
当院を含む8施設で急性増悪期心不全患者データを連続的に登録した。データベースの構築に伴い、本邦の他のレジストリー・データを合体させ、約1万例の心不全患者データベースの解析を行った。また、海外の診療実態と比較すべく、英国との共同研究も継続的に行っている。今回も本邦における代表的な急性心不全レジストリーのデータベース3件を統合し、発症早期の簡便な指標からスコア化し、院内予後を予測することが可能であることを検証した。さらに、退院後再入院のタイミングによって長期予後が異なるのかについても検討した。急性心不全入院中における利尿薬をはじめとする治療により尿酸値が変動することが日常診療で遭遇するが、入院中の尿酸値の変動が退院後の予後に及ぼす影響についても検討した。高齢者心不全例では、骨格筋量の低下が予後に及ぼす影響が重要視されている。われわれは、入院中CT像を撮影しえた心不全例を抽出し、腸腰筋断面積の低下がその後の予後の予測因子であることを明らかにした。その他、高齢者心不全における栄養状態指標、入院日数・入院回数がその後の予後に及ぼす影響、短時間・長時間作用型利尿薬、収縮能の保たれた心不全における左室径、入院時血糖値、標準的治療薬の効果の男女差、標準的治療薬投与に及ぼす低栄養の影響、急性期陽圧呼吸管理の意義、退院時BNP測定の意義について学会報告をし、論文化を進めている。本邦における代表的な循環器診療施設における急性心不全の診療実態が明らかとなった。海外の該当するデータベースと比較することにより、その違いはより鮮明となった。介入型臨床試験では反映されなかったより医療現場に近い心不全患者の病態、合併症、予後が明らかとなった。今後の心不全患者の医療政策を考えるうえで貴重なデータベースと考える。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 3件)
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