研究課題
Purkinje-ChR2発現マウスを作成し、免疫組織染色にてChR2の発現と発現部位を確認した。発現蛋白の機能的評価として、Langendorff灌流心にて470nm波長光を照射し、ペーシング可能なことを確認した。光学マッピング法を用いた興奮伝播様式の評価では、プルキンエ線維の捕捉による伝搬様式を確認した。現在、プルキンエ線維の刺激による伝導遅延を評価するため、心内膜側を展開した状態で局所的な光ペーシングを行い、興奮伝播様式の解析を行っている。470nm波長光の持続照射による伝導ブロックの確認をLangendorff還流心で評価した。擬似的心電図波形の変化が持続照射中に確認され、伝導ブロックの誘発を疑う結果であったが、再現性が十分確認できておらず、更なる検討が必要と判断している。心室性不整脈の誘発モデルの確立において、電気的高頻度刺激では持続性不整脈が誘発されなかった。このため、マウスの冠動脈前下行枝を結紮した心筋梗塞慢性モデルを作成した。電気的高頻度刺激、および、イソプレテレノール持続投与によって単形成心室頻拍は誘発されるものの、多形成心室頻拍、心室細動は誘発されなかった。このため、ATP感受性Kチャネルアゴニスト’ピナシジル’を投与したところ、再現性をもって多形性心室頻拍が誘発可能となった。470nm波長光の持続照射による不整脈の停止効果の検討では、心室頻拍の出現早期での照射で不整脈の停止が確認されるも、個体によって停止効果が得られない場合が見られ、再現性を評価している。
4: 遅れている
心室性不整脈の停止効果の検討では、心室頻拍の出現早期での照射で不整脈の停止が確認されるも、再現性が十分確認できていない。想定される原因として、ChR2の発現が低下している可能性、光照射がプルキンエ線維に十分行き届いていない可能性、脱分極チャネルロドプシンの持続的活性化では伝導遅延を誘発できていない可能性を考えている。
脱分極チャネルロドプシンだけでなく、抑制型チャネルロドプシン発現マウスを用いた実験を行うため、Cre依存性にArchTrhodopsinを発現するマウスの作成を開始した。今後、プルキンエ線維選択的にCreを発現するマウスとのDouble Tgマウスを作成し、不整脈の停止実験を継続する。
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