研究課題
Purkinje-ChR2発現マウス(ChR2-Tgマウス)を作成し、免疫組織染色にてChR2の発現と発現部位を確認した。発現蛋白の機能的評価として、Langendorff灌流心にて470nm波長光を照射し、ペーシング可能なことを確認した。冠動脈結紮による心筋梗塞モデル、薬物負荷を行い心室頻拍を誘発した後、470nm波長光の持続照射を行ったが、再現性をもって心室頻拍を停止することはできなかった。心房細動は心室細動と同様に生命予後に関わる重要な不整脈であり、機序も同様に複数の頻拍回路を不規則に旋回する難治性不整脈であるが、有効な治療法が確立されていない。既に作成したChR-Tgマウスでは、ChR2が心房筋にも発現することを確認していたため、研究対象の不整脈を心房細動に変更することとした。まず、マウス心房組織に10msの光刺激を行うことで、ペーシング効果が得られることを確認した。これまでの報告では、単離心筋レベルでは電気的な静止状態に持続的な光刺激を行うことで活動電位が延長することが報告されていたが、心臓レベルでの検証は行われていなかった。このため、ChR2-Tgマウスの摘出還流心に10-40msの光刺激を行い、活動電位持続時間、有効不応期が延長することを光学マッピングにて観察した。このような有効不応期の延長は、活動電位の第0-3相のいずれにおいても起こることを初めて観察した。更に、活動持続時間の延長は、光刺激の持続時間に相関することを確認した。次に、心房細動停止効果について検討した。ムスカリン受容体作動薬、カルバコールの還流によって不応期を短縮させることで心房細動は再現性をもって誘発された。10-20msの光刺激により心房細動が停止しえることを確認した。停止効果は、光刺激の持続時間に相関すること、光刺激の強さに相関することを確認した。
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