研究実績の概要 |
生後不変であると考えられていた心筋細胞が再生しているという報告(Bergmann O. et al Science, 2009)がされているが、その再生能力は極めて乏しく心筋梗塞や心不全を自然に克服する能力はなく、心臓は再生医療の重要なターゲットである。我々は有望な移植細胞源として、前駆細胞に着目しCD82陽性心筋特異的前駆細胞を同定した。(特許第5924750号)(Cell Reports 2018)。 本研究では、昨年度に認められた1か月という短期間でのCD82陽性心筋前駆細胞移植による心機能改善効果が長期間である3か月においても維持されることを認めた。さらにCD82陽性前駆細胞数を増やすとより心機能改善効果がある傾向が認められた。組織学的にCD82陽性心筋前駆細胞由来の心筋細胞、VCAM1陽性心筋細胞の残存を検討したところ、1か月後では両者とも認められたが、3か月後には両者とも少なくなっている傾向が認められた。これらの結果より心機能改善効果はCD82陽性心筋前駆細胞、VCAM1陽性心筋細胞由来のパラクライン効果であることが考えられた。心筋細胞数が減少する傾向を示したことに関しては、免疫ラットを用いたが残存するホストの免疫能により移植細胞が除去された可能性が考えられた。
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