研究課題/領域番号 |
18K08074
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
李 佩俐 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40464292)
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研究分担者 |
久留 一郎 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60211504)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Kv1.5 channel / NLRP3 inflammasome / gout / macrophage |
研究実績の概要 |
1)Kv1.5 channelが尿酸塩結晶(MSU)によるNLRP3 inflammasomeの活性化を制御するメカニズムの検討 昨年度macrophage細胞株J774.1 を用いて、Kv1.5 がMSUによるNLRP3 inflammasomeの活性化を制御することをウエスタンブロットで検証した。今年度はJ774.1 に E. coli lipopolysaccharide (LPS)又MSUを添加後、 ELISAを使って培養液に分泌される IL-1βを測定した。MSUはIL-1βの生産を増強し、Kv1.5特異阻害剤 Diphenyl phosphine oxide-1 (DPO-1) はIL-1βを用量依存的抑制することを見出した。二組のsiRNAによるKv1.5のノックダウンはIL-1βを抑制した。一方J774.1に発現しているKv1.3の特異阻害剤5-(4-phenoxybutoxy) psoralen (PAP-1)はIL-1βに影響を及ぼさなかった。ASC単量体はNLRP3 inflammasomeの活性化シグナルによる複合体形成に関与し、一方でASC speckを形成するとNLRP3 inflammsomeを活性化するとの報告があった。そこでKv1.5がASCのoligomerization およびASC speck形成に影響を及ぼすかを検討した。LPSおよびMSU はASCのoligomerizationをウエスタンブロットで、又ASC speck 形成は免疫染色で検討した。MSUはASCのoligomerization とASC speckの形成を促進した、一方DPO-1の添加はそれらを著しく抑制した。以上の結果はKv1.5がASCのoligomerizationとASC speck形成の調整を介してNLRP3inflammasomeの活性化を制御するというメカニズムが明らかになった。
2)ヒトmacrophage細胞株 THP-1を用いてKv1.5 のNLRP3 inflammasome に及ぼす影響の検討 THP-1細胞をLPS又MSUを添加後、ウエスタンブロット法を用いて分泌されcapsase-1 (p20) とIL-1βを解析した。MSUはcaspase-1とIL-1βを増強した。DPO-1はそれらを抑制した。一方PAP-1の添加はcapase-1やIL-1βに影響を及ぼさなかった。ELISAを用いてIL-1βを測定した。DPO-1はIL-1βを抑制したが、PAP-1の添加はIL-1βに影響を及ぼさなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上司と同僚によく相談したうえ、智慧を頂き、又参考文献から解決策を見出して、順調に研究を進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
1, マウスおよびヒトマクロファージcell line J774.1 とTHP-1にKv1.5/1.3以外に他のKチャンネルが発現しているか否かをウエスタンブロットやPCRを用いて解析する。 2, 他のKチャンネル特異阻害剤を使って、そのチャンネル活性がNLPR3 インフラマソームの活性を制御するかをウエスタンブロットやELISAで検討する。 3, in vivoモデルであるマウスperitonitis モデルを用いて、Kv1.5 チャンネルはMSUによるNLRP3 インフラマソームの活性化を制御するかを検討する。 4、論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスperitonitisモデルを用いて、kv1.5チャンネルはMSUによる炎症を抑制するかを明らかにするために、動物の購入、チャンネル阻害剤、ELISA kit、ウエスタンブロットの試薬などの購入が必要である。 又Kv1.5とKv1.3以外のKチャンネルはマクロファージ細胞での発現するかを確認するために、細胞培養試薬又PCRなどの試薬の購入必要がある。
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