研究課題/領域番号 |
18K08082
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
北端 宏規 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80438275)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 虚血再灌流障害 / ミトコンドリア膜透過性遷移孔 / グルカゴン様ペプチド-1 / 遠隔虚血プレコンディショニング |
研究実績の概要 |
本研究課題は大きく以下の2つに分かれる。 1. ブタを用いた動物実験において、急性心筋梗塞時の虚血再灌流障害発症予防に対する遠隔虚血プレコンディショニングとグルカゴン様ペプチド-1併用療法の梗塞サイズ縮小効果の確認 2. 動物実験で確認された有効性を人を対象とした臨床研究で評価し、予後改善効果の確認 そのため、前回当院における急性心筋梗塞に対する標準的な再灌流療法時の虚血再灌流障害の頻度と院内及び退院後30日までの予後について調査した結果を報告した。2018年4月1日から2019年3月31日までの1年間に、当院で247件の経皮的冠動脈インターベンションを施行し、内185件が急性心筋梗塞(ST上昇型急性心筋梗塞120件、非ST上昇型急性心筋梗塞65件)に対する経皮的冠動脈インターベンションであった。再灌流障害は、急性心筋梗塞185症例の約8%に認められたが、院内及び退院後30日までの死亡や心筋梗塞再発などの心血管イベント発症には再灌流障害の有無で違いは認められなかった。今回、心血管イベントに関して1年まで追加調査を行った。総死亡、非致死性心筋梗塞、心不全による入院、標的血管再血行再建を複合エンドポイントとした場合、再灌流障害(+)群は有意にイベント発生率が高かった(46.7% 対12.4%, p=0.002)。この差は、総死亡の差によるものであった(20% 対4.1%, p=0.037)。非致死性心筋梗塞、心不全による入院、標的血管再血行再建に関しては、両群間で有意な差は認められなかった。短期予後に差が認められなかったのは、経皮的冠動脈インターベンション治療や抗血小板薬やスタチンなどの薬物療法の最近の進歩も大きく関与していると考えられるが、長期予後の観点から再灌流障害を予防できる可能性のある本研究の重要性を再認識することができた。動物実験に関しては、遂行準備段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
動物実験は、遂行準備段階であるが、勤務先が大学病院から異動となり時間的制約があり、実験のための時間を確保することが難しく進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験に関しては、時間的制約が解除されれば遂行可能であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、経費のかかる動物実験が行えなかったため次年度使用額が生じた。長期予後の観点からも本研究の重要性を再認識し、研究成果発表が重要であるため、次年度は積極的に研究を遂行する予定である。
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