研究課題
ヒト心臓由来の筋線維芽細胞に定量的な伸展張力を負荷すると、増殖能と遊走能が減少した。また、伸展張力によりαSMA、Collagen-1、Fibronectinの蛋白発現レベルが減少し、線維化に寄与する転写因子Smad2とβ-cateninの蛋白発現レベルも減少した。このことは伸展張力が筋線維芽細胞を脱分化させることを意味する。次に、筋線維芽細胞においてカルシウムイオンチャンネルであるTRPV4のmRNAと蛋白の発現はいずれも伸展張力により減少した。TRPV4の発現をsiRNAを用いてノックダウンすると、αSMA、Collagen-1、Fibronectin、 Smad2、β-cateninの蛋白の発現レベルがbasalでいずれも減少し、また伸展張力にも応答しなかった。また、増殖能と遊走能もTRPV4のノックダウンにより伸展張力に応答しなかった。このことはTRPV4が伸展張力を感知し、筋線維芽細胞の分化を制御していることを意味する。以上より心臓線維化の1つの原因として、伸展張力が低下して筋線維芽細胞でのTRPV4の発現が増大し、SMAD2とb-Cateninの発現レベルが増大して線維化が増大すると考えられる。さらには、伸展張力に応答するmRNAと蛋白の発現レベルの変化をそれぞれDNAアレイと質量分析計で検討し、新規の伸展張力応答遺伝子を多数同定した。また、伸展張力に応答するマイクロRNAに関しても検討した。
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