研究課題
(1) UVB照射による動脈硬化・大動脈瘤抑制機序の検討 紫色光の照射により細胞をラベリングできるマウスを用いて、UVB照射により皮膚で誘導された制御性T細胞の挙動について調べた。UVB照射により、皮膚由来制御性T細胞の全身リンパ組織への移動が促進されたが、皮膚由来の細胞の割合は極めて少なく、病態進展の抑制への関与は大きくないと考えられた。(2) 動脈硬化抑制に効果的なUVB波長の特定 3種類の波長のUVBを照射することのできる照射器を用いて、動脈硬化モデルマウスにおいて、制御性T細胞の誘導や動脈硬化抑制に効果的なUVBの波長を特定する実験を開始した。現在までに得られた実験結果から、制御性T細胞の誘導効果および動脈硬化抑制作用は波長により異なると考えられる。(3) UVB照射による心筋梗塞後の心不全抑制効果・機序の検討 冠動脈結紮によるマウス心筋梗塞モデルを作製し、UVB照射による急性心筋梗塞後の心不全抑制効果・機序についての検討を行った。UVB照射により有意な死亡率の低下を認め、心機能低下および心臓内腔の拡大は有意に抑制された。CCR4阻害薬を用いた実験を行い、病態改善の機序として、CCR4を高発現する制御性T細胞の誘導の関与が示された。(4) 大動脈瘤形成におけるCTLA-4分子の役割の検討 リンパ球特異的にCTLA-4を過剰発現させた易動脈硬化マウスを用いて、アンジオテンシンⅡ誘導性の高血圧・大動脈瘤モデルを作製した。CTLA-4の過剰発現により、大動脈瘤の形成および腎障害は抑制された。CTLA-4は炎症性免疫応答を制御することにより、これらの病態形成の抑制に関わることが明らかになった。以上の研究成果について原著論文として報告した。
2: おおむね順調に進展している
予備実験の結果に基づいて計画された研究については、一部の研究を除き、予定通りに実行されている。
特定の波長のUVBを照射することのできる照射器を用いて、動脈硬化の進展抑制に有効な波長を特定し、詳細な抑制機序の解明を目指す。UVB照射による心筋梗塞後の心不全抑制効果・機序の解明については、抑制機序の詳細な解明を行い、学術論文として発表を目指す。
抗体などの消耗品費用に関して、予定より支出が少なかったため。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Scientific Reports
巻: 9(1) ページ: 8065
10.1038/s41598-019-44523-6
Photomedicine and Photobiology
巻: 40 ページ: 17, 22
https://www.kobepharma-u.ac.jp/edrs/faculty_member_list/medical_pharmaceutics.html