本年度は、昨年度のラット動物実験によって確立した「生体血管内を循環しているソナゾイド製剤UFBを経皮的超音波照射によって破壊した際の血管内バブルエコー輝度変化画像定量評価法」を用いて、実際にラット鼠径静脈内循環中のソナゾイドバブルを経皮的超音波照射で効果的に破裂させる超音波条件を探索した。様々な超音波照射条件下に、照射前後の血管内エコー輝度変化を比較したところ、超音波照射前後でエコー輝度の変化が大きく、統計検定で有意な超音波条件を幾つか選出できた。このin vivo実験結果で選出された超音波条件を用いて、ガス透過性膜底式チャンバー内に注入したソナゾイド製剤UFBを膜底から超音波照射することによってチャンバー内で破裂する様子が肉眼的に観察できた。次に、同チャンバー内にソナゾイド製剤由来UFB混合プロスタグランジンE1(アロプロスタジル)製剤溶液を注入し、チャンバー膜底からの超音波照射が同溶液内のプロスタグランジンE1濃度を上昇させることができるか否かin vitro実験で評価したところ、サンプル内のプロスタグランジンE1濃度は増加しておらず、統計学的に有意では無いにせよ、その濃度は減少していた。先のin vivo実験に立ち返り、効果的な超音波照射条件を改めて探索する必要性が示唆されたことで、研究期間内に下肢虚血ラットモデルを用いた血管新生療法への応用検証実験に進むことができなかった。
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