研究課題/領域番号 |
18K08090
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
今泉 聡 福岡大学, 医学部, 准教授 (60609478)
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研究分担者 |
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 教授 (20343709)
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
立花 克郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40271605)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ナノバブル / アポ蛋白A-I模倣ペプチド / 超音波 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、超音波によるFAMPの動脈硬化巣への効果的な集積方法の確立のために、基礎的なデータの測定・収集を行った。具体的には、マウス大動脈へのナノバブルの集積を超音波イメージング装置で観察し、FAMPの有無によるエコー輝度の変化からex vivoでの定量評価を行った。方法として、apoE KOマウスとWTマウスから大動脈を摘出し、マウス大動脈用のファントム内に留置して回路を作成し使用した。最初に溶媒を回路内に還流させてreference(Baseline) 画像を取得した。その後、FAMPあり・なしのナノバブル造影剤の注入を開始し、高分解能超音波イメージング装置による超音波造影画像のスキャン(録画)を行った。この実験をapoE KOマウスとWTマウスで繰り返し行い、大動脈と縫合糸のVideo intensity curve (VIC)%を比較することでナノバブルの大動脈への集積、FAMPの効果、最適な条件を評価した。当初は内腔のtime intensity curve (TIC)やVIC%を基準として大動脈へのバブルの吸着を評価していたが、バブルが効果的に視覚化できない為に、全実験共通の縫合糸の輝度を基準にすることに変更した。また、VICグラフでは、3点のデータを抽出して評価を行っていたが、VIC%の時間的変化の特徴を再現しきれず、変化の大きい4点を抽出して解析するなど、安定した測定のために何度も実験を繰り返す必要があった。しかし結果として、ナノバブルの大動脈と動脈硬化部位への集積は、FAMPを使うことで優位になることを明らかとすることができた。本研究は超音波によるFAMPの動脈硬化巣への効果的な集積方法を確立するための基礎データとして重要な意味を持っており、また安定した測定が可能な測定系が確立されたことも意味があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超音波によるFAMPの動脈硬化巣への効果的な集積方法の確立のための、高分解能超音波イメージング装置をしたex vivoでの安定した評価方法の確立に、予想以上の時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
予定していたバブルFAMPの作製、バブルFAMPと超音波併用によるコレステロール引き抜き実験・最適な音響条件の確立、apoE KOマウスから摘出した大動脈を使用し、動脈硬化巣へのFAMP集積効果の検証、不安定プラークモデルマウスを使用したin vivoでの動脈硬化抑制効果の検証を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
高分解能超音波イメージング装置をしたex vivoでの安定した評価方法の確立に予想以上の時間を要したため、予定していたバブルFAMPと超音波併用によるコレステロール引き抜き実験が完了できなかったことで次年度使用額が生じた。今後は、完了できなかった実験を含め予定した実験を遂行していき、実験に必要な物品の購入を中心に使用していく。
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