研究課題
サルコイドーシスは原因不明の全身性炎症性肉芽腫性疾患であり心病変合併(心臓サルコイドーシス)の有無が予後に大変重要である。現在は経験的なステロイド治療が唯一の治療法とされているが、経過中の再燃があり難治性である。近年、原因としてアクネ菌感染説が報告されており、新たな治療としてアクネ菌をターゲットとした抗菌薬治療が有効である可能性が示唆されている。今回の研究目的はステロイドによる標準治療にクラリスロマイシンとドキシサイクリン塩酸塩の2剤併用療法を6か月間追加することで、抗菌薬を投与しない標準治療と比較して、心臓における炎症進展抑制効果(PET-CTにて観察)および安全性を、多施設、無作為化、前向きの比較試験にて評価することである。抗菌薬追加により炎症進展抑制効果が得られ、有効性が確認されれば、現在5~10mgという比較的高用量のステロイド維持量を、将来減量・中止できる可能性があり、さらに原因としてのアクネ菌説を支持するものとなり難治性のサ症の根本的な治療となる可能性がある。現在、研究全体として26例の登録がなされた(目標登録症例は80例)。当院では9例の登録が行われているが、コントロールの従来治療群で2例のカリニ肺炎が発生したため、試験を一時中断し、標準治療群でST合剤の追加が可能となるプロトコールに変更し、2020年4月に登録を再開した。
4: 遅れている
コントロールの従来治療群で2例のカリニ肺炎が発生したため、試験を2019年11月に一時中断し、標準治療群でST合剤の追加が可能となるプロトコールに変更し、2020年4月に登録を再開した。コロナウイルス感染拡大の影響で、研究参加の同意が得られにくい状況もある。
症例登録の状況に合わせて、追加施設をリクルートすることも考慮しているが、コロナ感染拡大の状況や各都道府県の感染状況をみながら決定する予定
COVID-19の影響により旅費等の支出が減ったため、次年度使用額が生じた。COVID-19終息後、延期されていた学会等へ参加するために使用予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
Am Heart J
巻: 220 ページ: 246-252
10.1016/j.ahj.2019.10.003
Circ. J
巻: 83 ページ: 2329-2388
10.1253/circj.CJ-19-0508.