研究課題
サルコイドーシスは原因不明の全身性炎症性肉芽腫性疾患であり心病変合併(心臓サルコイドーシス)の有無が予後に大変重要である。現在は経験的なステロイド治療が唯一の治療法とされているが、経過中の再燃があり難治性である。近年、原因としてアクネ菌感染説が報告されており、新たな治療としてアクネ菌をターゲットとした抗菌薬治療が有効である可能性が示唆されている。今回の研究目的はステロイドによる標準治療にクラリスロマイシンとドキシサイクリン塩酸塩の2剤併用療法を6か月間追加することで、抗菌薬を投与しない標準治療と比較して、心臓における炎症進展抑制効果(PET-CTにて観察)および安全性を、多施設、無作為化、前向きの比較試験にて評価することである。抗菌薬追加により炎症進展抑制効果が得られ、有効性が確認されれば、現在5~10mgという比較的高用量のステロイド維持量を、将来減量・中止できる可能性があり、さらに原因としてのアクネ菌説を支持するものとなり難治性のサ症の根本的な治療となる可能性がある。コントロールの従来治療群で2例のカリニ肺炎が発生したため、試験を一時中断し、標準治療群でST合剤の追加が可能となるプロトコールに変更し、2020年4月に登録を再開し現在、研究全体として29例の登録がなされた(目標登録症例は80例)。引き続いて登録を進めていく。