我々はこれまで動脈硬化性心血管リモデリングにおける新たな診断治療標的分子としてのAPE1の意義を確立してきた。癌化学療法誘発性心血管障害におけるAPE1の意義は、診断的にも治療的にも全く明らかにされていない。本研究は、これまでのAPE1の循環器学的知見を腫瘍学の領域に展開し、DOX誘発心筋障害のバイオマーカーとしての診断的意義と、心筋障害軽減の標的分子としての治療的意義を解明するものであり、独創性に富み将来の臨床適用に繋がる発展性ある研究である。その成果は、腫瘍循環器学領域における新たな学術的意義と同時に癌サバイバーの長期予後の改善という社会的意義を有し、医療社会学の発展に資するものである。
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