肺動脈性肺高血圧の治療薬(PGI2誘導体、エンドセリン受容体拮抗薬、PDE5阻害薬等)はいずれも肺血管抵抵抗と肺動脈圧を選択的に低下させ、生命予後を改善する。これらの薬剤が直接に心臓交感神経系の活性に影響を及ぼしているか否かについて、現在、我々は、評価検討を行っている状況である。 肺動脈性肺高血圧症と既に診断されているか、もしくは新たに診断され、入院加療が必要であった症例を対象とし、初期治療によって良好に経過した症例を対象とした研究である。右心カテーテル検査を施行することにより血行動態を把握し重症度の評価を行っている。また、加療後に代償期となり退院が可能となった状態で、心臓交感神経機能を直接評価できるMIBG心筋シンチグラフィ、および交感神経系の活性を反映する新規バイオマーカーであるFABP4濃度を測定している。さらに、古典的な神経体液性因子の評価として、血中NE、hs-TnT、hs-CRP、PIIINP濃度も計測し、心エコー図検査にて、両心機能評価を行っている。 現在、データを解析中であり、退院した症例においては、安定し外来通院している症例が多いが、心不全死、心不全増悪入院等の主要有害心イベントを来した症例も存在する。今後、データ解析によって、肺動脈性肺高血圧の治療薬の効果判定や、予後予測が可能になると思われる。
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