研究課題
超高齢社会とともに心不全患者が急増し、心不全パンデミックに陥ることが懸念され、確実な診断法と新規治療法の開発は重要課題の1つである。申請者はB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の研究に取り組み、心不全の診断、治療への応用について取り組んできた。最近ネプリライシン阻害薬とアンギオテンシンII受容体拮抗薬両方の作用を持つARNIが心不全治療で使用できるようになった。ARNIは左室リバースリモデリングを標準治療薬であるACE阻害薬より高率に起こすことが報告されたが、この機序の1つに活性型BNP、ANPの増加が考えられている。 mature BNP/total BNP比の高い患者ではARNIにより活性型BNP、ANPがさらに増加し、左室リバースリモデリングを高い確率で起こす可能性があり予備的データで入院時mature BNP/total BNPが高い症例では遠隔期の左室リバースリモデリングを起こる率が高いことを観察した。 CHO細胞にヒトproBNP遺伝子を導入し培養液をHPLC精製後、トリプシン処理し、プロセシングに関係する71Thに結合した糖鎖の構造解析をLC/MS質量分析装置を用いて行った。71Thにはまず1-3個のGalNAcが結合し、その後1-2個の Galactoseが結合、その後0-2個のNeuNAcが結合する多様な構造を示すことを確認した。ヒトproBNPについても引き続き解析を行い、改善を加えているがまだ糖鎖構造を決定するには至っていない。理由の1つは糖鎖構造の多様性が予想していたより複雑であること、並びに精製が難しく解析に必要な量を得るのが困難なことにある。そのためmacro-proBNP血症のproBNP高値の症例の血漿を使用するなど工夫を行い、もう少しで糖鎖構造決定のところまで来ている。
すべて 2020 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
PLoS One
巻: 15 ページ: e0237387
10.1371/journal.pone.0237387.
http://kyoto-u-cardio.jp/kisokenkyu/endocrine/