研究課題/領域番号 |
18K08104
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 貴雄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30583877)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 飢餓 / 心不全 / 栄養 |
研究実績の概要 |
心臓と各臓器の連関は何か?という疑問に答えるため、本研究を行い、解析の48時間前(2日fasting群:2 Day)、24時間前(1日fasting群:1 Day)に、マウスのケージから食餌を取り除き水は与え続けた。食餌を取り除かなかった群(Fed)を対照として、トランスクリプトーム(心臓、肝臓、骨格筋)、メタボローム(心臓、肝臓、骨格筋)のデータを採取した。このデータベースを、多階層にわたるtrans-omics解析を行い変化しているpathwayの解析を行った。公開されているマウス大動脈縮窄心不全モデルの遺伝子データベース、左室補助循環装置装着の重症心不全患者の遺伝子データベース(いずれも公開されている)や水泳による生理的心肥大マウスモデルのデータと対比させ、共通点・相違点・臓器間結ぶ因子を、分子レベル・パスウェイレベルで同定した。2021年度では、左室機能低下がみられたfasting群において、その変化が可逆性かどうかを検討するために、refeeding(再投与)の実験を行った。その結果、fastingで惹起された心機能低下は、食餌再投与48時間では回復せず、1週間の経過で回復した。β1アドレナリン受容体のメッセンジャーRNAおよび蛋白発現パターンと軌道を一にしており、その上流下流の変化を探索した。また、ヘムに関わる蛋白の増加が認められており、その発現抑制・発現もたらす、薬剤投与実験を行った。 この結果は、栄養状態改善による心不全治療に還元できる可能性を示唆しており、次年度はそれらの結果のまとめ・心不全モデルへの還元を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に経過しており、中心となる経路・その変化を解明しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
飢餓応答としての心機能低下の機序解明に移っており、心不全病態への還元という視点で実験を進めることができている。食餌再投与による心機能の回復の機序や時間経過の解明を通じて、心臓の酸化ストレスと、肝臓の転写因子の関連、という大きな課題目標を明らかにする。22年度で薬剤での介入実験を継続し、ハブとなる経路への介入結果をまとめ、心不全病態への還元を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞実験を最小限にし、動物実験で薬剤介入を行ったため、次年度の動物実験費用として利用する。
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