研究課題/領域番号 |
18K08106
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
溝手 勇 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10584609)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | MRI / 僧帽弁 / Clip / フロー情報 |
研究実績の概要 |
平成31年2月、ブタを用いた動物実験を施行した。MRIについては、金属物(Clip)による左房内のフロー信号への影響を確認するためには、Clip留置前における左心房内のフロー情報が必要であることから撮像を施行した。留置前におけるフロー信号は、人における左房内フロー情報とほぼ同様であった。Clipの植え込みについては、人における植え込みと同様に心房中隔穿刺にて右心房から左心房にカテーテルが到達したが、左心房が狭小であり、かつ経食道心エコーでは十分に僧帽弁を描出できず、最終的にはClipを留置することは不可能と判断した。したがって、Clipの金属ハレーションの影響をMRIにてClip留置状態で評価することができなかった。 今回の実験では、右房造影を施行しブタの右房右室肺動脈、左房左室の位置関係を確認し、かつ経食道心エコーにて描出できる心腔内構造物(僧帽弁、大動脈弁、肺動脈弁、三尖弁、右房左房、右室左室)を確認した。その結果、ブタの心臓は人とは解剖学的に異なり左心房が小さく、人用に開発された医療機器を僧帽弁に導入することは困難であること。また、僧帽弁の描出自体が解剖学的に困難であることから、Clipを確実に僧帽弁に留置することができないことが明らかとなった。 今回の実験の主たる目的は、MRI撮像時にクリップがフロー信号に与える影響の範囲を確認することであるが、僧帽弁への留置は極めて困難であることから今後は、肺動脈弁もしくは三尖弁へ留置することで、周囲構造物(肺動脈、もしくは右房)におけるフロー信号への影響を確認する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述したように、Clipをブタの僧帽弁に留置することは解剖学的に、技術的に極めて困難であることが明らかとなった。動物実験で、Clipがフロー信号に与える影響を確認するためには、僧帽弁以外の心臓弁にClipを植え込む必要があり、Clipの植え込み部位を変更する必要がある。今回の実験から、それが実現可能な心臓弁は、三尖弁、肺動脈弁であることを確認したため、それらの部位で再実験を予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の主たる目的は、金属物(Clip)がMRI撮影時に周辺のフロー信号にどれくらいの範囲でアーチファクトを形成するかを確認することである。したがって、心臓弁にClipを植え込むことができ、MRIを撮像することで、アーチファクトの範囲を同定することが可能となる。今回の実験で、それが可能な心臓弁が確定したことから、その方法で再度実験を行なう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品調達費用が想定していたより安価であったため、余剰金が発生した。一方で、今回の実験ではその目的を到達し得なかったため、再実験が必要であり、今回の余剰金をそちらで使用する予定である。
|