研究代表者はRyR2のCaM結合ドメイン(CaMBD)に1アミノ酸変異を組み込んだ変異ペプチドを多数スクリーニングした結果CaMの結合親和性が著しく高まるアミノ酸変異を発見した。この知見をもとに、RyR2上のCaM結合ドメイン内で1アミノ酸のみを変異させることによりCaMの結合親和性が格段に高まる変異を組み込んだknock-in (KI)マウス: (RyR2 V3599K KIマウス)を作成することに成功した。 このマウスをR2474S CPVT型マウスと交配させることにより、カテコラミン刺激時のCaM解離は抑制され、運動誘発性心室頻拍はCPVTマウスでは必発であったのに対して、交配したダブルへテロマウスでは心室頻拍が完全に消失するという興味深い結果を得た(JCI Insight. 2019)。 このRyR2 V3599K KIマウスではTACによる心拡大、心肥大がほぼ完全に抑制されていた。さらに、WTマウスでは、TAC2週後の早期からCaMがRyR2から解離しているのに比しRyR2 V3599K KIマウスではCaM解離が抑制されていた。興味深いことにWTマウスではCaM解離に伴いCaMが核内に移行していたが、RyR2 V3599K KI マウスでは抑制されていた(Commun Biol 2020)。 現在心筋梗塞モデルでの効果を検討中である。
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