研究課題/領域番号 |
18K08109
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永田 弾 九州大学, 大学病院, 助教 (20570790)
|
研究分担者 |
山崎 誘三 九州大学, 大学病院, 助教 (00643347)
坂本 一郎 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (90616616)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | フォンタン / 妊娠 |
研究実績の概要 |
フォンタン患者の妊娠は高リスクに分類され、産科的合併症や新生児合併症の頻度が高いことが言われている。フォンタン患者の妊娠における、血行動態の変化を明らかにし、よりよい管理を確立することを目的とし、今年度少ないながら症例の集積を得られた。いずれの症例も妊娠確認後にワーファリンを中止し、ヘパリンカルシウムの皮下注を開始して、妊娠中期に未分画ヘパリン持続静注に変更した。APTTは45-60秒程度を目標として、出血性合併症はなかった。また、D-dimerの上昇はなく、心エコー上明らかな血栓形成もみれれなかった。心不全として、BNPは軽度上昇にとどまったが、妊娠経過がすすむにつれ腹部からの圧迫によるものなのか労作時の息切れが多くなったため酸素投与で経過をみた。内服等の追加は特に行う必要はなかった。BNPの上昇は軽度にとどまっていた。妊娠中期の心臓MRIでは通常の1.5倍の心拍出量になっており、房室弁逆流は軽度増悪がみられたが、心機能低下の増悪もみられなかった。計画的な帝王切開での分娩を予定していたが、いずれも陣痛が発来し(34週と37週)、骨盤位の症例は緊急の帝王切開を行い、もう一例は経膣分娩での出産となった。出生体重は2000g前後であり、NICUへの入室を要したが呼吸障害も軽度であり、哺乳も早期に確立できた。出産後、頻脈などの症状はみられたが、心不全の増悪はなかった。 出血、血栓性合併症はなく退院することができた。妊娠前の血行動態が安定している症例では、心不全の増悪なく経過することが示唆された。新生児についてはやはり小さく出生する傾向にあると思われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
希少疾患であり、妊娠をする症例はさらに少ないことが原因と考えられ、当初計画していた症例数を下回る結果となっている。 また、コントロールの症例の集積ができておらず、今後、age matchさせた症例で過去にとったMRIや心臓カテーテル検査の結果を用いることも検討したい。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の1年間でまずこれまでのフォンタン患者さんにおける心臓MRIや心臓カテーテル検査の所見を比較検討する。また、可能であれば妊娠した先天性心疾患患者の情報も収集していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究期間を延長してさらに症例集積を行う必要がある。また、サイトカイン測定にはキットであり、次年度使用額が生じると考える。
|