研究課題/領域番号 |
18K08109
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永田 弾 九州大学, 大学病院, 助教 (20570790)
|
研究分担者 |
山崎 誘三 九州大学, 大学病院, 助教 (00643347)
坂本 一郎 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (90616616)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | フォンタン / 妊娠 / 出血性合併症 / 早産 |
研究実績の概要 |
これまでに9例12妊娠を経験し、そのうち5例は流産であった。分娩に至ったのは7例で、うち1例は双胎妊娠であった。7例の妊娠時年齢は中央値(範囲) 27(23-31)歳で、原疾患は三尖弁閉鎖が5例と最も多く、Fontan手術はEC法が3例、LT法が4例であった。妊娠前の酸素飽和度は95(91-97) %、中心静脈圧は 9(8-12) mmHgで安定したFontan循環であった。抗凝固はワーファリンを中止し、未分画ヘパリンの皮下注射もしくは入院での持続点滴を行った。妊娠経過中、4例で妊娠中期に房室弁逆流増悪がみられ、同じ症例でBNPの上昇もみられた。うち2例には息切れなどの症状が出現した。心臓MRIでの心拍出量は妊娠中期で5.76(5.08-7.6) L/minと増加がみられた。D-dimerは妊娠中期に軽度上昇を認めたが[1.7 (0.5-2.7)μg/ml]、血栓イベントはなかった。一方で、2例で妊娠初期から絨毛膜下血腫を認め、2例で帝王切開後の腹腔内出血がみられた。1例は人工流産後も出血が続いたため外科的止血術が行われた。分娩は5例で帝王切開が行われ、2例で無痛分娩であった。分娩後半年以降では、増悪してた弁逆流は全例で改善がみらた。在胎週数は34(29-37)週で、出生体重は1763(980-2285)gで低出生体重児の傾向にあり、2例で軽度の呼吸障害がみられた。Fontan循環における妊娠では、母体、胎児、新生児に様々な合併症が起こりうることが示唆された。抗凝固を継続せざるをえず、出血性合併症は気を付けておかなければならないことがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
希少疾患であることと、フォンタン手術後の患者さんは不妊の傾向にあるため、妊娠希望される例は多いが、実際に妊娠して出産する例が少ないことが原因と思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
できれるだけ症例を集積することと、得られたデータをさらに詳細に解析し、フォンタン妊娠管理の問題点を探っていく
|
次年度使用額が生じた理由 |
該当する症例があと1年で少し増加するのを見込んでおり、サイトカイン測定に関する器具や試薬に使用したいと考えている
|