研究課題
本研究は、我々が開発した肥満イヌ高頻度心房刺激モデルを用いて、肥満や表現型である心房周囲脂肪の心房細動進展における機序を解明することである。ビーグル犬15頭を対象に高カロリー食を給与し、10~12週間の長時間高頻度心房刺激を行う肥満合併長時間高頻度心房刺激群 (Obese-L-AF群:5頭)、通常食に長時間高頻度刺激を行う群 (L-AF群:4頭、1頭未施行)、高脂肪食のみを与える肥満群(Obese群:5頭)に分け、電気生理学的検査を行った。Obese群、Obese-L-AF群の体重は18.2kg、16.0kgとL-AF群の13.0kgに比較しやや高値を示した。拡張期血圧はObese-L-AF群がL-AF群に比較し有意に高く、左房圧はObese群が他2群に比較し有意に高かった。L-AF群はObese群に比較し左房の不応期が短縮する傾向を示し、Obese-L-AF群では有意に短縮していた。高頻度心房刺激によるAF誘発性は3群ともに高く80%以上で、AF持続時間はObese-L-AF群が最長でありAF vulnerabilityが高いことが示唆された。先行研究の通常食を与えた対照群、高カロリー食を給与し、4~8週間の短期間高頻度刺激を行ったObese-S-AF群(5頭)、通常食に短期間高頻度刺激を行ったS-AF群(5頭)および現時点で終了しているObese群の組織学的検証では、心外脂肪、心房筋への脂肪浸潤の程度が対照群、S-AF群、Obese-S-AF群、Obese群と段階的に増加していたが、線維化はObese-S-AF群、S-AF群のみに見られた。以上は、心外脂肪や脂肪浸潤は線維化を促進する律速因子である可能性を示唆する重要な所見であると言える。今後、L-AF群、Obese-L-AFの組織学的、分子生理学的検査により、得られている電気生理学的所見の裏付けを検証する予定である。
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Journal of Cardiovascular Electrophysiology
巻: 32 ページ: 889-899
10.1111/jce.14955.