研究課題
国はストップ心血管病(CVD)に向けて対策をしているが、本研究からどんな点がCVD予防の観点でフィードバックできるだろうか?気温・大気汚染物質がどのようにCVDの発症関係したのだろうか?日本は気温が低いとCVDが発症するのだろうか?それも気温が高いとCVDが発症するのだろうか?また、大気汚染物質(PM2.5)が基準値以下でもPM2.5とCVDと関係があるのだろうか?最後に、超高齢者社会に向けて、高齢者にかかる医療費は病院経営にマッチしているものだったのだろうか?我々はCVDを発症した全国1,067,171例を対象とした。患者の病院と最も近い観測所を特定し、CVD前日の気温、湿度、PM2.5の濃度を収集した。大気気温が低いときにCVDの発症数が高かった。また、気温の高低差が高いとCVDが増加した。PM2.5が増加すると循環器疾患が発症したが、とくに65歳以上の高齢者は、気温・大気汚染物質の影響が鋭敏であった。PM2.5に伴う一人当たりの医療費は90歳以上で明らかに低かった。一人あたりの循環器疾患の医療費が最も高額なのは65-74歳であった。また、75-89歳、90歳以上の入院滞在日が若年に比し有意に長期入院になっていた。我々の分析が示すのは、高齢者は病院収入が低くなるにも関わらず長期滞在してしまう傾向を示す。これは、病院経営にとって、長期滞在する高齢者より若年の循環器疾患を中心に医療を行う方が利潤を出せる可能性があり、超高齢化社会に向けた本邦の医療のゆく方向とは異なる可能性があることがわかった。総じて、我々の結果は、温度管理を適切に保つことでCVDの予防になる可能性を示唆した。特に高齢者では注意が必要であろう。大気汚染物質(PM2.5)が基準値以下でもPM2.5とCVDと関係があり、PM2.5はさらに低くする努力が必要である。
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