研究課題/領域番号 |
18K08127
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
神谷 千津子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (10551301)
|
研究分担者 |
吉松 淳 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (20221674)
大谷 健太郎 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (50470191)
池田 智明 三重大学, 医学系研究科, 教授 (80202894)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 周産期心筋症 / 妊娠・出産 / 妊娠高血圧症候群 / 心不全 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
周産期心筋症は、心筋疾患既往のない女性が、妊娠中から産後にかけて心収縮機能の低下と心不全を発症する、特異な心筋症である。日本における発症率は、推定約1.5万分娩に1例と高くはないが、母体間接死亡原因の上位疾患に挙げられる。しかしながら、産科と循環器科の境界領域にある希少疾患のため、疾患概念の周知が不十分であるうえ、周産期心筋症の心不全症状(息切れ、浮腫、体重増加など)は、正常妊婦も訴える症状に似ており、診断の遅延が多くみられる。そこで、産科医をはじめとした妊産婦を日常的に診療する医師が、心筋症を早期診断できる体制作りが急務の課題である。本研究は、これまで行ってきた診断後研究の成果を踏まえ、次段階の取り組みとして、周産期心筋症の発症過程を捉え、生理的変化の異常や心血管の適応障害を来す因子の早期診断マーカーへの応用や病態解明を目指す。具体的には、周産期心筋症の危険因子 (妊娠高血圧症候群、多胎、2週間以上の子宮収縮抑制剤の使用、拡張型心筋症の家族歴) を持つ妊産婦を対象に、心機能の時間的変化を、妊娠産褥期に渡って追跡する多施設共同研究(PREAHER II、UMIN臨床試験ID: UMIN000020345)を実施し、また、心エコーやバイオマーカー測定の当該疾患の早期診断における有用性について検討した。全国22施設の協力を得、研究計画通りに2019年9月末までに555例の登録を得、除外症例などを除いた後、解析可能な521例について詳細に検討した。検討症例中の心筋症発生率は約1%で、全例、心機能低下を診断する前の心スクリーニング検査において、軽度心機能低下やバイオマーカーの異常高値を認めていた。周産期心筋症ハイリスク妊婦における、これら心スクリーニング検査の有効性が示唆される。
|