研究課題/領域番号 |
18K08129
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
辻野 一三 北海道大学, 医学研究院, 特任教授 (00344507)
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研究分担者 |
今野 哲 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20399835)
大平 洋 北海道大学, 大学病院, 助教 (20528301)
真鍋 徳子 北海道大学, 大学病院, 講師 (70463742)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / 右心 / 心筋 / 骨格筋 / 心臓MRI / 病理 |
研究実績の概要 |
本研究は以下の3研究:①右心および骨格筋評価系の確立、②肺疾患合併肺高血圧症(Lung-PH)群における心筋・骨格筋指標の評価と他群との比較、③右心・骨格筋指標の臨床的意義と治療応用への探索、により構成される。 1年度目にあたる2018年度は、①では画像検査、特に心臓MRIを用いた右心機能解析系の構築と代表的症例のcase report作成、②では1年度目に進めた剖検検体の準備と組織学的検査の条件設定を実際の対象検体において行うこと、③では臨床的観点からの解析結果の一部の発表、論文化の準備とした。①においては一部研究成果を公表しており、国内外での学会での口頭発表や英文雑誌への症例報告などを行った。同症例報告では肺血管拡張薬の投与により従来の指標では検出困難な右心機能の改善を、本研究で構築した新しい指標で客観的に数値で示すことができた。一例報告ではあるが、方法論の確立、さらに多数例での解析を行うにあたり有意義な進展と考えられた。一方、②については解析方法の確立が概ね完了した状況である。学会、論文での発表は平成31年度以降に行う予定である。③についても解析結果の一部を国際学会で発表し、同内容は海外の雑誌に投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
具体的成果として、①では心臓MRIに右心カテーテル検査指標を組み合わせ、右心室機能の呼吸指標とされる収縮末期および拡張末期エラスタンスの算出方法を確立した。得られた指標をもとにpreliminaryに肺高血圧症治療薬で治療した1例を詳細に解析し、その知見をPulmonary Circulation誌に発表した(Nakaya T et al.)。また多数例での解析を欧州呼吸器学会にて口頭発表した。②では解析検体の選択、免疫染色スライドの作成を行い、さらにバーチャルスライドを作成し、客観的に解析可能な体制を構築した。実際の解析にも着手しており、こちらも代表的な症例のcase reportを作成するのと並行して多数例での検討・解析を進める予定である。③では、主に①で得られた臨床指標を近年進歩の目覚ましい肺高血圧症治療薬使用の前後で比較し、新しい指標の有用性や新規治療の意義について検討中である。結果は2019年の肺高血圧症・肺循環学会および欧州呼吸器学会で発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究①:右心および骨格筋評価系の確立→系の詳細な部分に至る部分の見直しと修正を行い、系の確立を完了する。得られた成果の学会・論文発表を進める。研究②:肺疾患合併肺高血圧症(Lung-PH)群における心筋・骨格筋指標の評価と他群との比較→Lung-PHと対照群、肺高血圧症群との比較を進める。肺血管の病理学的な評価法は確立しておらず、論文化するにあたり正確な評価系の確立を進める。得られた結果の国際学会での発表や論文化を進める。研究③:右心・骨格筋指標の臨床的意義と治療応用への探索→治療の観点から新しい指標の臨床的意義を解析し、国際学会での発表、論文化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の中で画像保存用のシステムや病理学的解析に係る費用が予定より少なかったことなどにより次年度使用額が発生した。平成31年度には繰り越しの研究費を用いて計画通りの研究遂行が可能と考える。
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