研究課題/領域番号 |
18K08130
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
榊原 純 (小西純) 北海道大学, 大学病院, 講師 (50374278)
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研究分担者 |
木下 一郎 北海道大学, 大学病院, 教授 (40343008)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肺癌 / 組織系 / Numb |
研究実績の概要 |
肺腺癌細胞株(Ad細胞株)(A549、PC9)と肺扁平上皮癌細胞株(Sq細胞株)(H520,H1703)を使用して研究を行った。Ad細胞株においてNumbをsiRNAを用いて発現を低下させたところNotch1の発現が増加し増殖能、浸潤能、遊走能は増加した。さらにNumbの抑制によりEMT(epitheial mesenchymaltransition)マーカーとしてE-cadherinの低下、Vimentin,Snailが増加した。逆にNumbをover expressionしNumb発現を増強させたところAd細胞株においてNotch1の低下を認め、増殖能、浸潤能、遊走能は低下、EMTマーカーにおいてE-cadherinの増加、Vimentin,Snailが低下した。NumbをoverexpressionさせてAd細胞株、をヌードマウスに皮下接種しゼノグラフトマウスモデルを作成したところ腫瘍の増殖が抑制され採取した腫瘍細胞においてNumbの発現増加は維持されておりNotch1の低下、E-cadherinの上昇、Vimentin,Snailの低下を認めin vitroの結果と同様であった。 Sq細胞株において上記と同様の実験を行ったところNumb抑制において腫瘍増殖能、浸潤能、遊走能が低下し、Numbの強制発現により逆の結果を認めた。Numbの低下によりNotch1は変化せずNotch4の増加を認め、逆にNumbの増加によりNotch4は低下した。 外科的切除されて肺癌組織検体を使用しNumbの発現を検討した結果肺腺癌195例でNumb高発現は111例、低発現は86例あり、高発現症例は低発現と比較して予後良好であった。肺扁平上皮癌においては48例がNumb高発現、72例が低発現であったが予後との相関は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Numb発現の変化による細胞株の増殖能、遊走能、浸潤能の検索は終了し肺癌組織系の違いを認めた。またマウスモデルも肺腺癌細胞において終了しNumb発現の増加により腫瘍増殖が抑制されることを認めた。肺癌組織検体を用いた免疫染色は終了し評価も終了している。当初の予定をおおむね終了し順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はNumbがNotch pathwayを介して腫瘍増殖、浸潤能、遊走能に関与しているかについてNotch1、またはNotch4の発現をノックダウンまたは強制発現させ実験を遂行する。また小細胞肺癌におけるNumb発現においても小細胞肺癌切除検体を用いて免疫染色を行い検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Notchのノックダウンや強制発現の細胞株樹立に時間を要したために次年度使用額が生じた。今後はNotch1,Notch4のノックダウン、強制発現の研究と小細胞肺癌における免疫染色の研究を行うために助成金を使用予定である。
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