研究課題
これまで腫瘍免疫療法への治療抵抗性の主な原因として、腫瘍攻撃性の免疫細胞が腫瘍内に浸潤しない事が挙げられている。このため腫瘍への細胞浸潤を制御する腫瘍微小環境と腫瘍免疫との関係が注目されている。我々はこれまで腫瘍免疫療法に抗リンパ管新生療法と抗血管新生療法を併用するとその効果が強まる事を発表している。これは抗リンパ管新生療法や抗血管新生療法により、正常に機能していなかった腫瘍血管や腫瘍から流出するリンパ管の機能が改善し、腫瘍の微小環境が免疫抑制性から免疫支持性に改善したためだった。実際この微小環境の改善により、腫瘍攻撃性の CD4 陽性及び CD8 陽性 T 細胞の腫瘍内浸潤数が増加した。本プロジェクトで我々は腫瘍へ流入する血管や腫瘍から流出するリンパ管を明瞭に顕微鏡で観察できるマウス腫瘍モデルを作成した。本腫瘍モデルは胸壁や横隔膜の胸膜に播種性の転移性腫瘍を発生させて作成した。これは腫瘍血管とリンパ管を形態学的に観察し、免疫細胞の血管から腫瘍への浸潤やリンパ管への還流を確認するためである。まず、胸壁や横隔膜のリンパ管や血管の正常解剖が同定されていないため、胸壁や横隔膜の胸膜胸膜を血管やリンパ管のマーカーで免疫染色し、その正常解剖を同定した。そして横隔膜の脈管系の正常解剖、胸壁胸膜の正常解剖として各々投稿中である。次に胸膜転移モデルを血管やリンパ管のマーカーで免疫染色すると、腫瘍血管やリンパ管が明確に顕微鏡で同定できた。これまで周囲のリンパ管からどのように腫瘍内にリンパ管新生がおきるか不明だったが、本モデルでは一つ一つの腫瘍が小さいため腫瘍への周囲の脈管からの血管新生やリンパ管新生を観察することができた。
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Vaccines
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10.3390/vaccines10040517
PLos One
巻: 16(7) ページ: e0254261
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