肺胞上皮細胞の組織幹細胞であるⅡ型細胞は、定常状態では細胞周期の休止期に入っているが、傷害時、増殖因子やアポトーシス細胞を認識することにより細胞周期に入り細胞増殖が生じる。COPDにおけるⅡ型細胞の細胞周期・アポトーシス感受性については、種々の報告がなされている。COPDのⅡ型細胞では、増殖能が亢進していることが知られている。一方で、Ⅱ型細胞のアポトーシスは亢進していることが分かっている。このようなCOPDにおけるⅡ型細胞の細胞周期、アポトーシス感受性がCOPDの微小環境においてどのように制御されているかは明らかにされていない。そこでA549細胞の細胞周期およびアポトーシス感受性におけるLHX9の役割を明らかにするために、RNA干渉法を利用し機能喪失実験を行った。まず始めに細胞周期解析を行った。生細胞に対する各細胞周期の細胞の割合を、LHX9をノックダウンした細胞(siLHX9)と陰性コントロール(siNTC)とで比較検討したが、LHX9ノックダウンにより各細胞周期の細胞割合に変化を認めなかった。次に細胞死感受性を検討するため、A549細胞を無血清培地で96時間培養したときの生細胞/死細胞比をsiLHX9とsiNTC間で比較した。LHX9をノックダウンすると、コントロールと比較して生細胞/死細胞比が増加した。以上の検討から、A549細胞において、LHX9は細胞周期には影響を与えないが、serum-starvationによる細胞死に関して細胞死感受性を亢進している可能性が示唆された。
|