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2020 年度 実績報告書

メタボローム解析を応用した肺線維症の病態解明と新規治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K08136
研究機関東北大学

研究代表者

大河内 眞也  東北大学, 事業支援機構, 講師 (40375035)

研究分担者 黒澤 一  東北大学, 事業支援機構, 教授 (60333788)
岡田 克典  東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)
兼平 雅彦  東北大学, 大学病院, 助教 (90374941)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード間葉系幹細胞 / 翻訳後修飾 / 脱共役呼吸 / 間質性肺炎 / 肺障害 / 治療 / 新型コロナウイルス感染症 / 吸入療法
研究実績の概要

間葉系幹細胞由来の液性因子STC1が、抗酸化ストレス、抗アポトーシス作用を有することが報告されている(Mol Ther, 2012, 20, 417-23)。STC1経気道投与は、ブレオマイシンによる肺線維化を抑制する(Mol Ther, 2015, 23, 549-60)。
今回の研究では、STC1がミトコンドリアに関連する中心代謝経路(TCA回路、β酸化)やその周辺にあるグルタチオン回路、メチオニン回路に影響することが明らかになった。グルタチオン回路は抗酸化作用、β酸化やメチオニン回路は翻訳後修飾(タンパク・DNAのメチル化・アセチル化を通してタンパク発現を調整すること)に関わる。抗線維化因子SMAD7は翻訳後修飾の影響を受けやすいこと(BBRC 2018, 496, 700-705)より、STC1がSMAD7の翻訳後修飾に重要との仮説を立てた。実験結果は、STC1が様々な細胞でSMAD7を誘導し、TGFβ・SMAD2/3経路の活性化を抑制しすることを示した。さらに、STC1がSMAD7遺伝子プロモーター領域のメチル化を抑制すること、SMAD7タンパク早期アセチル化によりSMAD7の安定化を誘導することを明らかにした。次にSTC1経気道投与がブレオマイシンモデルにおける肺IL6産生を抑制することを発見した。STC1がIL6アンプ回路(IL6自身がJAK/STAT系を介してIL6産生を増強すること)を抑制すると考え、実験を行い以下のことを発見した。
STC1経気道投与は、抗JAK/因子であるSOCS1の翻訳後修飾に影響し、SOCS1発現を増強しした。SOCS1はJAK1ユビキチン化を誘導しSTAT3リン酸化およびIL6産生を抑制した。
まとめると、本研究により、STC1吸入は肺線維症治療のみならずCOVID19や自己免疫疾患の治療に使える可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Targeting stanniocalcin‐1‐expressing tumor cells elicits efficient antitumor effects in a mouse model of human lung cancer2021

    • 著者名/発表者名
      Abe Kotaro、Kanehira Masahiko、Ohkouchi Shinya、Kumata Sakiko、Suzuki Yamato、Oishi Hisashi、Noda Masafumi、Sakurada Akira、Miyauchi Eisaku、Fujiwara Tohru、Harigae Hideo、Okada Yoshinori
    • 雑誌名

      Cancer Medicine

      巻: 11 ページ: 6243-9

    • DOI

      10.1002/cam4.3852

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Extraterrestrial hexamethylenetetramine in meteorites?a precursor of prebiotic chemistry in the inner solar system2020

    • 著者名/発表者名
      Oba Yasuhiro、Takano Yoshinori、Naraoka Hiroshi、Furukawa Yoshihiro、Glavin Daniel P.、Dworkin Jason P.、Tachibana Shogo
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 11 ページ: 1-16

    • DOI

      10.1038/s41467-020-20038-x

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] tanniocalcin-1 (STC1) Affects SMAD7 Epigenetics, Increases Glutathione Synthesis and Ameliorate Bleomycin Fibrosis Through Regulating Integrated Metabolic Pathways2020

    • 著者名/発表者名
      Shinya Ohkouchi
    • 学会等名
      米国胸部学会
    • 国際学会
  • [産業財産権] コロナウイルス感染症の予防または治療剤2021

    • 発明者名
      大河内眞也
    • 権利者名
      大河内眞也
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2021/ 7780

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公開日: 2021-12-27  

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