本研究の目的は、発見が困難な根治可能な肺癌のうち、早期肺扁平上皮癌を対象に、尿中に存在するシェディング物質の網羅的解析によって新規の診断マーカーを探索することである。癌細胞に由来する過剰な酵素活性により異常切断を受けた断片(シェディング物質)を複数同定し、腫瘍マーカーとしての臨床的意義を解析した。扁平上皮癌患者と健常者の尿を用いて検討した結果、ROC-AUC > 0.6の基準を満たすマーカー候補を58種同定した。別に回収した肺扁平上皮癌の尿中シェディング物質を解析した結果、早期および進行期肺扁平上皮癌の両者で発現が亢進している蛋白質断片として、分子量約1800のシェディング物質Xが同定された。
|