研究課題/領域番号 |
18K08161
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
木島 貴志 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90372614)
|
研究分担者 |
南 俊行 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00705113)
吉川 良恵 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10566673)
大村谷 昌樹 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60398229)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 悪性中皮腫 / BAP1 |
研究実績の概要 |
悪性中皮腫 (Malignant Mesothelioma: MM) はアスベスト曝露が主要因で、曝露から30-40年の経過を経て発症する、極めて予後不良の腫瘍である。長期間に及ぶ酸化ストレスにより、中皮細胞の変異蓄積が腫瘍化に寄与することが予想されるが、その実態は未解明の部分が多い。MMの腫瘍関連遺伝子として、脱ユビキチン化酵素BAP1とp16遺伝子であるCDKN2Aの欠損が知られている。 前年度までの研究により、BAP1の細胞内局在を調節すると報告されたUBE2O, またBAP1による脱ユビキチン化を受けることが報告されたNCOR1の変異がそれぞれ4-5%の頻度で生じることを見出した。そこでBAP1のみならず本遺伝子のsignal pathway遺伝子異常と悪性中皮腫発症との関連性に着目した。まずUBE2O遺伝子が増幅した悪性中皮腫細胞株(BAP1変異無し)を用い、BAP1の細胞局在を調べたが、UBE2Oタンパク発現が高い未処理の状態でも、ノックダウンにより発現低下後もBAP1は通常通り主として核に局在し、変わらなかった。またUBE2O はmTOR pathway を制御するAMP-activated protein kinaseをユビキチン化により発現調節することが最近報告された。そこでUBE2OノックダウンによりmTOR pathway系の遺伝子の発現変動を調べた。しかし調べた遺伝子に関しては顕著な発現変動は見られなかった。中皮細胞では報告された細胞とUBE2Oの機能が異なる可能性があり、さらに検討を続ける。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BAP1の細胞局在をWestern blottingと免疫染色により調べたが、両者の結果が一致しなかった。そのため、免疫染色の条件検討に時間を取られた。結果的には、悪性中皮腫細胞ではUBE2Oタンパク発現の増強によるBAP1の細胞局在の変化は見られず、予想と異なったため。
|
今後の研究の推進方策 |
悪性中皮腫細胞株への遺伝子導入やモデルマウス作製によりUBE2Oの機能解析を進める。後者は、悪性中皮腫の5割程度で欠損するCDKN2AのノックアウトマウスとUBE2Oノックインマウスの掛け合わせにより、悪性中皮腫発症が亢進するか否か検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予測していたデータと実験結果が異なり研究が遅れている。次年度、研究支援者を雇用し、精力的に実験し研究を巻き返すべく人件費捻出のため経費を残した。
|