研究課題/領域番号 |
18K08169
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 剛 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50456133)
|
研究分担者 |
寺崎 泰弘 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50332870)
三谷 明久 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (90739137)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 小型プロテオグリカン / OMD / PRELP |
研究実績の概要 |
OMDとPRELPは、細胞外基質たんぱく質である小型プロテオグリカンファミリーに属する。しかし、その機能はほとんど解明されていない。この研究は、これらの遺伝子の肺における機能を解析することを目的とする。まず、OMD欠損マウスおよびPRELP欠損マウスを樹立した。肺の表現型を病理学的・生理学的に解析したが、いずれのマウスも、同法の野生型と比し、明らかな差異は認めなかった。また、公開データベースを用いた発現解析にて、肺がん組織にてこれらの遺伝子の発現が低下しており、遺伝子発現量が予後に関与している可能性が示唆されたため、肺癌の発症への関与の可能性も考えた(同じく正常組織における発現の多い膀胱では、欠損マウスでの上皮の過形成あり)。抗体が作成されれば、tissue microarrayにて、肺がん標本においてこれらの蛋白の発現を確認し、予後との相関を検証する予定である(抗体に関しては現在スクリーニング中)。欠損マウスでは、1.5年までの経過観察にて、肺上皮に腺腫などの形成は認めなかった。次に、他の小型プロテオグリカンにて肺線維症との関与の報告があることから、ブレオマイシンの経気道投与による肺線維症モデルを作成した。OMD欠損マウスの少数の解析では、肺線維化の軽減の可能性も示唆され、今後n数を増加する予定である。 共同研究に関しては、両欠損マウスの膀胱にてNGS解析を施行し、膀胱がん発症に関わる院でし変化の解析を行い、現在投稿中である。また、脳底動脈内皮細胞の培養の系を立ち上げた。安定的に内皮細胞の培養が行えるようになったため、今度はOMDおよびPRELP遺伝子欠損の影響を評価していく。医科学研究所では、抗体のスクリーングとともに、大腿骨の解析を施行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスの新生仔が親に食殺される事例が多く、繁殖に時間がかかったこと、ブレオマイシンの経気道投与による肺線維症モデル結果が、技術的な問題でばらつきが大きかったことが挙げられる。また、2019年秋から冬にかけての研究室の移転と、COVID-19流行に伴う研究室への出入りの制限があった。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、ブレオマイシンによる肺線維症モデルにて、OMDおよびPRELPの両遺伝子が、肺線維症に病態に関与するという仮説を検証する。有意な差を認められた遺伝子について、細胞株を用いた研究を行う。上皮のEMTや線維芽細胞の増殖能などに、これらの遺伝子が関わるか、発現ベクターやsiRNAなどを用いた実験にて検証を進める。 他臓器の解析についても、他施設との共同研究を継続する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
マウスを用いた研究の遅れが生じたため、マウス飼育費用などが予定よりかからなかった。翌年度は、当初の研究計画と合わせて、今年度の遅延分の研究も行う方針である。
|